中国の軍拡が止まらない。南シナ海の海上プラットフォームだけではなく、最新の第4世代戦闘機もすでに量産体制に入っており、海だけでなく空でも軍拡は加速している。その背景にはいったいどんな意図があるのか?人気ジャーナリスト・櫻井よしこ氏の最新刊『凛たる国家へ 日本よ、決意せよ』の中から紹介していこう。

猛スピードで進む
中国の軍拡

櫻井よしこ(さくらい・よしこ)ベトナム生まれ。ハワイ州立大学歴史学部卒業。「クリスチャン・サイエンス・モニター」紙東京支局員、アジア新聞財団「DEPTH NEWS」記者、同東京支局長、日本テレビ・ニュースキャスターを経て、現在はフリー・ジャーナリスト。
1995年に『エイズ犯罪 血友病患者の悲劇』(中公文庫)で第26回大宅壮一ノンフィクション賞、1998年には『日本の危機』(新潮文庫)などで第46回菊池寛賞を受賞。2007年「国家基本問題研究所」を設立し理事長に就任。2011年、日本再生へ向けた精力的な言論活動が高く評価され、第26回正論大賞受賞。2011年、民間憲法臨調代表に就任。
著書に『論戦』シリーズ(ダイヤモンド社)、『「民意」の嘘』(花田紀凱氏との共著、産経新聞出版)、『日本の未来』(新潮社)など多数。

凄まじい規模とスピードで進む中国の南シナ海軍事拠点化の動きが、中国の野心を見せつける。オバマ米大統領には中国の侵略的行動を阻止する意図もなく、アメリカは中国の膨張を止める有効な手は打てないと踏んで、オバマ氏が大統領にとどまるうちに、取れるものはすべて取ろうと、遮二無二攻めている。

南シナ海パラセル諸島最大のウッディー島への地対空ミサイル配備が明らかになったのは2016年2月19日だった。わずか4日後には、戦闘機も配備された。配備済みの戦闘機はJ-11とJH-7であることをアメリカ国防総省が発表した。

J-11は中国人民解放軍の主力戦闘機で、日本の航空自衛隊の第4世代戦闘機F-15およびアメリカのF-16戦闘機に匹敵する。繰り返し強調したいのは、南シナ海で起きることは必ず東シナ海でも起きるということだ。

中国が海を奪い、軍事拠点化したことは、東シナ海も奪われ、軍事拠点化されるという意味だ。尖閣諸島のみならず東シナ海全体に中国の支配が及ぶことである。

その目的のために中国が実行してきたことの1つが、東シナ海の日中中間線近くにガス田開発と称してプラットホームを建て続けたことであろう。安倍政権誕生前は4基だったが、最近の約3年間で新たに12基を建設、合計16基で4倍に増えた。別の4基も建設中だという。