7月29日、日本銀行は、マイナス金利導入以来、半年ぶりに追加緩和を行なったが、その内容は、上場投資信託(ETF)の買い入れ額の増額という小ぶりの政策だった。このため、市場には失望感が広がった。

 ところで、住宅建設は増加しており、これはマイナス金利の影響と解釈できなくはない。そこで、マイナス金利拡大による住宅建設の促進を図るべきだとの意見がある。

 以下では、住宅建設増加の要因を検討し、マイナス金利幅拡大は支持できないことを示す。

ほとんどの経済指標が悪化する中
新設住宅戸数は顕著に増加

堅調な住宅投資はマイナス金利の成果と言われているが、果たして本当なのか

 このところ、さまざまな指標が日本経済の停滞を示している。

 家計調査による実質消費は、4ヵ月連続で減少を続けている。鉱工業生産指数も、2015年半ば以降、下落傾向だ。8月15日に公表予定の4~6月期のGDPは、マイナス成長になる可能性がある。

 このようにほとんどの経済指標が悪化する中で、新設住宅戸数は顕著に増加している。その状況は、図表1に示すとおりだ。

 14年4月の消費税増税前に駆け込み需要で増加し、増税後に減少した。15年になって回復しつつあったが、秋以降再び減少した。ところが、16年2月以降は増加に転じている。

 5月の新設住宅着工戸数は7万8728戸となり、前年5月に比べて9.8%増えた。前年同月を上回るのは、16年1月以降5ヵ月連続だった(ただし、6月には8万5953戸で、前年同月比は2.5%減と、6ヵ月ぶりの減少となった)。

 16年2月に急激に増えたのは、マイナス金利の影響だとの見方がある。そして、このルートを通じて日本経済を活性化することができるとの意見がある。しかし、以下で述べるように、これについては、慎重な評価が必要である。