オフィス空室率は来年改善に向かいそう
Jリートの銘柄は、賃貸住宅で資金運用する「住宅系リート」と、賃貸オフィスで資金運用する「オフィス系リート」の2つが代表的。
住宅系は景気に左右されづらく、収益や分配金が安定している。一方、オフィス系は、東京のオフィスの将来的な需要の高まりを背景に成長性は期待できるが、景気に左右されやすい。
では、今投資するならどちらがいいのか?
どちらも面白そうだ、というのが、クレディ・スイス証券の望月政広さんとアイビー総研の関大介さんの共通した見方。
住宅系リートは5~7%と高利回りの銘柄が多い。分配金が安定していてスポンサーの信用力が高く、なおかつ利回りの高い銘柄を狙うのが鉄則だ。
一方、オフィス系リートは過去10年で最悪の水準にまで落ち込んだ空室率に苦しんでいるが、裏を返せば「景気が良くなれば、収益や分配金が改善する余地が大きい」ともいえる。
では、今後、オフィスビルの空室率はどうなるのか。11年、12年にはオフィスビルの供給が増えて、状況がさらに悪化するという見方もあるが──。
望月さんは「オフィスビル業界は、リーマンショックという異常事態から、平常時モードに戻りつつあるところ。その前提で需給状況を分析すると、来年以降は需要の伸びが供給の伸びを上回りそう」と言う。
関さんも「今は、来年以降のオフィスビルの大量供給を控えて様子見をしている企業が多いが、状況が見えてくれば、かえってオフィス需要が一気に表に出てくる可能性がある」と語る。
さらに、望月さんは「空室率の先行き懸念が払拭されれば、オフィス系リートの価格は上昇局面に入る」とも言う。
となると、オフィス系リートは、今が絶好の狙い目といえそうだ。
(文/小泉秀希)
※ダイヤモンド・ザイ2010年12月号に掲載(プロ注目のお宝7銘柄も入ったJリート全36銘柄のパーフェクトガイド付き)