8ヵ国を話すマルチリンガル・新条正恵が、2016年リオ五輪に通訳ボランティアとして参加。4年後の東京大会でボランティアでの参加を考えている人たちのために、五輪ボランティアの仕事について現場から日々の様子をレポートする。第12回は、日本でも報道されていたボランティアの待遇とリタイアの多さについて。
オリンピックボランティアの待遇は悪くない
欧米、日本のメディアが大会ボランティアの待遇の悪さとリタイアの多さについて報道しているが、ボランティアの待遇は実はそれほど悪くない。
今回、大会ボランティアとして選ばれた人たちへは制服一式の他に、通勤時間を含む雇用保険、英語やポルトガル語のオンラインコースが最大1年間無償で提供された。1日の勤務時間が最大8時間、6勤1休というのはブラジルの法律に合わせているため、これ以上の勤務を強要することは原則として不可能。違反すると多額の罰金が発生するからだ。
ビーチバレー会場など、一部の仮設施設を除いたベニューで働くスタッフへは、ホットフードと呼ばれるメインディッシュ付きの食事が準備される。ちなみにこの食事は選手に提供されるものと、さほど変わらないと選手村で働くボランティアから聞いた。品数などは選手用の食事の方が少し多いが、同じケータリング会社を利用しているため、同じ料理もあるのだそうだ。味の好みはあるだろうが、ロンドンオリンピックでもボランティアをした私のチームは「ロンドンよりはるかに美味しい」と話していた。
競技の合間に食事休憩をとるため、食事時には長い列ができることもある。それでも10分も待てば食事にはありつけるので、長い行列がお昼時の象徴となっている東京のランチ事情を知る私としては、イライラするほどでもない。