世界で盛んに行われている研究
その論文の中身とは?

東大医学部が乗り出した「細胞レベル」の美容研究、CBDってなんだ?吉崎歩 東京大学大学院医学系研究科・医学部 医学部 臨床カンナビノイド学講座特任准教授・講座長

 カンナビノイドの研究は近年盛んに行われるようになり、論文もここ数年で何倍にも増えた一方、「まだまだ十分に研究がなされておらず、不明なことも無数にある状態」と吉崎先生。

 実際、世界のCBDに関する研究論文を確認してみても、しっかりとしたエビデンスが得られているものはごく少数であり、肌(表皮細胞)の老化や若返りに関する研究データは存在しなかったとのこと。

「そこで私たちは、CBD医薬品やCBD製品すべてについて考えたとき、皮膚を対象に用いられるものが最も多いという現状を鑑み、皮膚の表面にある表皮細胞や、その奥にある真皮の線維芽細胞、さらに奥にある脂肪細胞や筋肉を構成する筋細胞、毛の細胞に対して、カンナビノイドの作用を研究しています」

 また、CBDを使った製品には、口に入れるグミやオイルなどもあるので、皮膚だけでなく、口の中の歯肉や粘膜の細胞についても研究を行っている。将来的には免疫細胞など、人体を構成するあらゆる細胞を対象にする予定だ。

 臨床カンナビノイド学講座により行われた研究では、すでに私たちの健康と美容に関わる成果が見出されている。それが「抗老化」だ。

「皮膚の表皮細胞に対するCBDの抗老化・アンチエイジング作用が示されました。単に老化の進行を食い止めるだけでなく、若い状態に戻す作用を表す結果も得られています」