ドラッカー教授の主要著作のすべてを翻訳し、「日本における分身」と言われた上田惇生氏と、『経営者の条件』を40回読み、読書会を主宰し、ドラッカー学会監事を務める佐藤等氏。最強のタッグによる『実践するドラッカー【事業編】』。連載第2回からは、同書収録のワークシートを取り上げつつ、どのように理解を深めていくかを佐藤等氏に聞く。

顧客は誰か?

「顧客の創造」は、ドラッカー教授の至言のなかでも、最も有名な言葉である。

 利益がなければ事業は存続できない。そして、利益の源泉はただ一つ、顧客しかない。「これが次世代の商品である」とどんなに旗印を掲げたところで、どんなに旧来の製品との違いを訴えたところで、顧客がいなければ意味がない。

 では、あなたの事業の顧客は誰か。もちろん、おわかりかと思う。しかし事業の現在、そして未来を考えていくうえで、本当にそれでよいのだろうか? ドラッカーいわく、「わかりやすい答えが、そのまま正しいことはほとんどない」。

 本書『実践するドラッカー【事業編】』では、考えを深めるためのワークシートを用意した。今回は、「顧客の定義」についての考えを深めるワークシートと、その記入例を紹介したい。