ドラッカー教授の主要著作のすべてを翻訳し、「日本における分身」と言われた上田惇生氏と、『経営者の条件』を40回読み、読書会を主宰し、ドラッカー学会監事を務める佐藤等氏。最強のタッグによる『実践するドラッカー』シリーズ最新刊【事業編】。連載最終回は、自らの強み、そして事業の定義について考える。
強みを生かし
唯一無二の存在を目指す
ドラッカーは常に「強みを基盤としなければならない」という。
たとえ外部環境を分析し、何らかの機会を発見したとしても、自らの強みを基盤としたものでなければ、最終的に他を凌駕する、顧客から見て際立ったものにならないからだ。
とはいえ、自らの強みは、知っているつもりで案外知らない。強みだと思っていたものが、顧客から見ればそうでなかったりする。あるいは、かつて強みだったものが、いまでは優位性を失ってしまっていることもある。
最も簡単な強みの発見方法としては、競合他社との比較がある。『実践するドラッカー【事業編】』に収録された「競合に対する優位性」発見シートを使って考えてみよう。
記入にあたっては、以下のポイントに気をつけてほしい。
1. 同業他社と比較した場合、どこに特徴があるか。その特徴が際立っている要因は何か。また、「予期せぬ成功」事例にもヒントがある。
2. 強みの裏返しのとしての弱みを考える。繰り返し起こる失敗の原因を考える。
3. リーダーシップとは市場シェアではない。市場において顧客から支持されている理由から考える。企画、開発、マーケティング、営業、調達、製造など機能ごとに考えるのもよい。