「明日やろう」「新年度から始めよう」「締切が近づいたら手をつけよう」……私たちが、普段の生活や仕事の中でついやってしまうのが「先延ばし」だ。この悪癖は、私たちの成功を阻む大きな要因のひとつでもある。そんな人生の大敵であり、私たちの自己実現を阻む「先延ばし」について語った不朽の成功バイブル『DOING IT NOW』がついに日本で邦訳される。今回は、その邦訳版である『DO IT NOW いいから、今すぐやりなさい』から、「先延ばし」を打開するノウハウを紹介していく。

理想的な時間を追い求めすぎると、
膨大な時間をムダにする

エドウィン・ブリス
アメリカの元経営コンサルタント。それ以前に新聞記者、編集者、上院議員秘書、ロビイストを経験。先延ばし癖と時間管理に関するセミナーを全米各地で開催して好評を博した。哲学、文学、歴史、心理学に造詣が深い。著書に『DO IT NOW いいから、今すぐやりなさい』(ダイヤモンド社)などがある。現在、引退してカリフォルニア州で暮らす。

 先延ばしのよくある言い訳として、「まだ早い」「もう遅い」ということがあげられます。たとえば、一部の営業マンは、よく「まだ時間帯が早い」と言い訳をし、先延ばしをします。早い時間帯に見込み客に電話をしないほうがいいと思っているのです。しかし、優秀な営業マンはそれが怠けるための口実であることを知っています。

「完璧なタイミング」を見計らっていると膨大な時間を空費することになります。「朝の早めの行動は利益をもたらす」という格言のとおり、損をしたくないなら、できるだけ早く1日のスタートを切るべきです。

 また反対に、「もう遅い」というのも、すべきことをしないための便利な口実の1つです。再び営業マンを例にとると、午後5時の直前は顧客がもうすぐ退社する時間帯なので、そんなタイミングで電話をしても無駄だと考えてしまうのです。

 しかし、優秀な営業マンは、「理想的な時間帯」に電話をすればいいと自分をごまかすのではなく、顧客が退社する直前に再び電話を入れることが成功の秘訣であると知っています。

 この原理はどの分野でも同じです。成果をあげるには「理想的な時間帯」だけを活用すればいいわけではありません。すきま時間もその他の時間と同じように貴重ですから、何かを成し遂げたいのならば、どんな時間も無駄にしないという心がけを大切にしていきましょう。