2019年4月に罰則つき残業規制がスタートすることもあり、「働き方改革」は喫緊の課題となっている。そんななか、プレッシャーが増しているのがプレイングマネジャー。個人目標とチーム目標を課せられるうえに、上層部からは「残業削減」を求められ、現場からは「仕事は増えてるのに…」と反発を受ける。そこで、1000社を超える企業で「残業削減」「残業ゼロ」を実現してきた小室淑恵さんに『プレイングマネジャー「残業ゼロ」の仕事術』をまとめていただいた。本連載では、本書のなかから、プレイングマネジャーが、自分もチームも疲弊せずに成果をあげるノウハウをお伝えしていく。

Googleが実証した「結果を出すチーム」の<br />すごく意外な共通点とは?<br />

グーグルが発見した「生産性の高いチーム」の共通点とは?

 生産性も成果も上げているチームには、どのような共通点があるのか?

 これを実に4年の歳月をかけて明らかにした会社があります。
 グーグル(現・アルファベット)です。

 同じ会社の社員なのに、なぜ、生産性の高いチームと、そうではないチームが生まれるのか?この問題を解明するために、2012年に「プロジェクト・アリストテレス」を立ち上げて、社内調査を開始。調査結果をデータ分析することで、生産性の高いチームに共通する働き方のパターンを解明しようとしたのです。

 彼らはまず、生産性の高いチームを生み出す要件について、過去50年間の学術調査を見直すことから着手しました。そして、社内のチームのメンバー構成に手がかりがあるのではないかと仮説を立てて、「どれくらいの頻度でチームメイトとオフィス以外で交流しているか」「同じ趣味をもっているか」「学歴が似ているか」「全員の性格が似ているか」などを調査。しかし、生産性の高いチームに共通するパターンを見出すことはできませんでした。

 ただ、おもしろい発見がありました。
 正反対の特性をもつチームでもほとんど生産性に違いがないことがわかったのです。

 たとえば、あるチームでは、メンバー同士の仲が非常によく、オフィス外でも一緒に過ごすような関係でした。一方、別のチームは、仕事上必要なこと以外はほとんどコミュニケーションをとらないような関係でした。しかし、どちらも同じく生産性が高かったのです。

 また、あるチームでは、リーダーのもとに階層的なメンバー構成をとっており、別のチームではフラットな構成をとっていましたが、この2つのチームにも、生産性にほとんど違いがありませんでした。

 驚いたのは、メンバーの優秀さも、生産性にはほとんど影響がなかったことです。

 グーグルでは、ひとりの社員が複数のプロジェクトにかかわるため、2つのチームでほとんど参加メンバーが同じというケースもあったのですが、一方のチームは生産性が高く、もう一方は低いというケースが発見されたのです。つまり、「チームメンバーの性格(外交的か内向的か)や能力、経歴などの要素」も、「チーム構成のあり方」も、生産性にはほとんど影響がないということがわかったのです。