「なぜ、日本ではユニコーン企業がなかなか出ないのか?」――。
この疑問への1つの回答となるのが田所雅之氏の『起業大全』(ダイヤモンド社)だ。ユニコーンとは、単に時価総額が高い未上場スタートアップではなく、「産業を生み出し、明日の世界を想像する担い手」となる企業のことだ。スタートアップが成功してユニコーンになるためには、経営陣が全ての鍵を握っている。事業をさらに大きくするためには、「起業家」から「事業家」へと、自らを進化させる必要がある、というのが田所氏が本の中に込めたメッセージだ。本連載では、「起業家」から「事業家」へとレベルアップするために必要な視座や能力、スキルなどについて解説していく。

面接は応募者を<br />「見極める」場であると同時に<br />自社を「魅力づけする」場でもあるPhoto: Adobe Stock

面接(面接担当者)の印象によって、
内定後の辞退率が変わってくる

 そもそも面接を行う理由は何だろうか? 一般的な認識としては、面接は採用候補者の「見極め」の場。つまり、書類(職務経歴書や履歴書)などに書かれたスキル/経験など見える部分の確認だけでなく、質問を通じて見えない部分「性格」「資質」「自社とのカルチャーフィット」「価値観」を引き出して見極める場になる。

 一方で、採用側にとっては、面接は「魅力づけ」の場でもある。

 面接を通じて「自社の情報提供」と「魅力づけの実施」を行うのが重要になる。つまり、面接の場とは「口説く場」であり「営業/アピールする場」でもあるということを認識いただきたい。

 実際に面接に通って内定を出しても、面接(面接担当者)の印象によって、内定後の辞退率が変わってくるのだ。面接は、スクリーニングの場であると同時に、候補者のモチベーションを上げる場でもある。

 面接の段階でどれだけ本音が引き出せるかという部分も面接官にかかっている。面接官は、言語化能力、質問力、バイアスに負けないこと、何よりビジネスパーソンとして魅力的な人に任せたい。