中国の病院、軽症者で逼迫 ゼロコロナ裏目Photo:Kevin Frayer/gettyimages

 中国全土で新型コロナウイルス患者が病院に殺到し、医療従事者から悲鳴が上がっている。押し寄せているのは重症者ではなく、軽症者だ。

 中国の病院はこれまで、他国が慣れざるを得なかった病床のひっ迫には見舞われていなかった。唯一の例外は、2020年初頭の数週間にこれを経験した武漢市だ。中国はむしろ、できる限り早く感染者を排除することを目指し、感染者全員を入院させ、「濃厚接触者」もすべて隔離施設へ送ってきた。濃厚接触者には医師や看護師も含まれる。

 しかし、中国本土で感染者が急増する中、かつての「成功の方程式」はここにきて大混乱をもたらしつつある。

 3月初旬、複数のソーシャルメディア投稿から、上海の大型病院で異変が起こっていることが浮き彫りになった。平均で年間500万人余りが利用する上海市第六人民医院だ。

 同病院が封鎖されたため自身の手術が延期となったと、複数の人が投稿した。医療従事者が廊下で寝ているとの投稿もあった。その後、病院内のけんかの様子をとらえた動画が拡散し始めた。一部の看護師が全身を覆う防護服なしでコロナ患者の治療に当たることに懸念を示したことが原因とみられている。