「一流」を目指す上司こそ、部下を上手に育てられる理由Photo:PIXTA

「楽しい」と「楽(らく)」の意味を
履き違えてはいけない

 新入社員が入社してくる4月。経営者や職場のリーダーは、入社式などで新入社員に向けてあいさつや訓示をする機会が増えます。私もこの時期は、新入社員研修に招かれて話をする機会が多いのですが、その時に意識して話すことが二つあります。

 一つは、新人だからと甘えずプロ意識を持つこと。学生時代は、学校に授業料を払う“お客さま”の立場だったので、だらだら過ごしてもなんとかなるものですが、会社員になると、新人であっても仕事の対価として会社からお金をもらうプロになります。その点を自覚して、仕事に臨まなければならないことを伝えるのです。

小宮一慶・小宮コンサルタンツ代表小宮一慶
小宮コンサルタンツ代表

 もう一つ、新入社員はこれから40年、50年と働くのだから、仕事を楽しむこと。人生の半分以上の時間を、お金を稼ぐことだけに費やすのでは、とてもつまらないと思います。プロとして、お金をもらいながら、楽しく働ければ、これほど素晴らしいことはありません。

 ただし、仕事は楽ではありません。「たのしい」も「らく」も「楽」という漢字をあてますが、その中身は全く違うのです。「楽」ではない仕事を「楽しむ」ためには、自分の能力を高める努力を続けなければなりません。

 社会人というスタート台に立った時から毎日少しずつ努力を積み重ねる人と、希望の会社に入社できたのだからもう勉強も努力もしなくてもいい、毎日楽に暮らしたいと考える人とでは、何年、何十年後に大きな差が付きます。新人時代は半人前でも、紙一重の努力、コピー用紙1枚分の努力でも毎日積み重ねれば、能力が身に付き、誰でも一人前になるだけでなく、その上の「一流」になることができます。一人前では残念ながら「二流」です。