危機で信頼されるリーダーと人が離れていくリーダーの決定的な差Photo:PIXTA

泥沼化するウクライナ情勢で
「評論家」になる経営者は会社をつぶす

 ウクライナ情勢は、多くの人の想定よりも長期化、泥沼化しています。停戦協定が結ばれても、欧州を中心とした世界の緊張は簡単に和らぐことはないでしょう。コロナが収束したとしても、日本経済は回復へ向かうどころか、悪化する可能性が高まっています。

小宮一慶・小宮コンサルタンツ代表小宮一慶
小宮コンサルタンツ代表

 こうした状況下で、中小企業経営者が「してはいけないこと」は、評論家になることです。まるでテレビのコメンテーターのような態度でウクライナ情勢を語って悦に入り、自社を取り巻くリスクには無関心で、それに対して何の手も打たない。それでは、経営コンサルタントの大先輩・一倉定先生がおっしゃったように「評論家社長は会社をつぶす」を地で行くことになります。

 当たり前ですが、経営者がウクライナ情勢を見通すことはできません。ロシアをコントロールすることもできません。でも、これから起こり得ること、特に「ダウンサイドリスク」を想定して行動することはできるはずです。

 例えば、原油のようなエネルギー価格の上昇、希少金属の供給停止、インフレの加速、取引先企業が受ける影響というようなリスクに対して、自社はどのように対応するのかということを具体的に検討すること。その上で対応策を練り、万が一に備えることが大事です。経営者は評論家ではなく実務家ですから、日常の仕事に追われて忙しいかもしれませんが、評論家をするのではなく、覚悟を決めてやるべきことを一つ一つきちんと積み重ねていくしかありません。