「人の話は最後まで聞きましょう」。子どもの頃、親や学校の先生にこう教えられたことはないでしょうか。ビジネスマナーの基本中の基本ではありますが、これが意外と、実践するのが難しいものです。とある現場で、実際に起こった失敗談をお伝えします。

「まだ言いたいことが残っていたのに…」が生む
大きなフラストレーション

 喋っているときに、発言をかぶせてくる人がいます。

 たとえば、ある課題について、あなたが解決策をひらめいたとしましょう。会議でそのことを説明し始めたとき、他の参加者が、「そういったやり方もあるかもしれないが、私はこちらのやり方のほうが良いと思っているんだ」と割って入ってきて、話の主導権が奪われたとします。

 せっかく自分が話をしていたのに、気づいたら別の人にその座を奪われていたという場面で、あなたは何を感じるでしょうか。

 「まだ言いたいことが残っていたのに…」

 このように、最後まで話を聞いてもらえなかった人はフラストレーションを抱え込みます。割り込んできた相手と心理的な距離があるほど、その思いは強くなります。それが転じて、相手に対するネガティブな気持ちが生まれ、その積み重ねが、非協力的な態度や消極的な姿勢を生み出すのです。