オンライン入試導入への試金石
具体的には、四谷大塚結果80偏差値で「45」を下回るような学校は受験生確保にかなり苦労を強いられそうという観測である。
そこで浮上してきたのが、新型コロナウイルス禍に対応できるオンライン入試の導入だ。
文部科学省もここに来て、オンライン面談やスポーツ実技動画の提出など総合型選抜(AO入試)や推薦型選抜(推薦入試)で積極的な対応を大学に求めるのみならず、中学・高校入試でも同様の対応を要請するような動きを見せてきている。
オンライン入試の一般入試での導入は、各都道府県の私立学校協会での調整も必要となるため、まだ先の話になりそうだが、各校とも最初の入試になる例が多い帰国子女を対象とした帰国生入試でまずそれが実施できないかと検討が始まっている。
例年、海外会場では10月から、国内会場では11月から12月にかけて多くが実施されており、ここで手応えを感じることができれば、一般入試での導入もスムーズに行えるのではないかとみられるからである。
ゴールデンウイーク明けの週末、こうした中堅校の入試担当者らが集まって、オンライン入試を考える勉強会が行われた。「帰国生教育を通じてポストコロナの教育を考える」というテーマで、かえつ有明中・高等学校(東京・江東区)と聖ドミニコ学園(東京・世田谷区)の先生を中心に語り合っている。
聖ドミニコ学園のカリキュラムマネージャーを務める石川一郎氏は、「帰国生教育にヒントあり!」として、帰国生が置かれている現況を説明した。海外にいる受験生は休校が継続したまま長期休暇に突入しそうな勢いでありながら、夏の一時帰国も難しい情勢にある。例年行われているような現地での学校説明会も今年は実施が困難で、受験生が入試情報を得る機会もない。
すでに帰国している受験生にしても、休校が続く中、説明を聞きに学校訪問することもできず、やはり学校選びや英語力の保持への懸念を抱いている。
帰国生入試が半年以内に迫る中、各校ではどのような検討が行われているのか。
まず、現行の試験をそのままオンラインに移行するのは難しい、という点が話題になった。入試問題を作成する立場では、本校で学びたい生徒に入学後の授業で必要となる能力や資格が備わっているかを念頭に置いて作問している。もちろん定員を超えた受験生を落とすためという選抜の要素はあるが、こうした検討をすることで、入試のあり方を問い直す契機にもなったという点が重要という指摘だ。つまり、入試の中身が変わる可能性である。