2022年に増加する受験生の受け皿は共学校となる。今後共学化する女子校は受験生の注目度も高い。22年の星美学園(共学後はサレジアン国際学園)に続き、23年には姉妹校である目黒星美学園も共学化してサレジアン国際学園世田谷となる予定

前年比受験者数2割増の衝撃

 4回目となる緊急事態宣言は期間延長を繰り返し、首都圏では9月30日まで継続される。新型コロナ禍は2021年も中学受験生に多大な負荷を掛けているが、最初の宣言下にあった20年4月実施の模試は会場確保も困難で、総受験者数が大きく減少した。そのため、単純に前年比較はできないのだが、2回目と3回目の宣言の狭間で実施された21年4月模試の受験生数は大きく増加している。

 この点については以前の記事で触れたとおり、20年より2割増、19年比でも1割増と、22年首都圏中学入試の受験者数は激増する可能性が示されていた。少子化(小6人口の減少)とコロナ禍による経済的困窮をものともせず、中学受験熱がむしろ高まっていることは、それだけ公立校への教育不信が大きいことの裏返しかもしれない。

 6~7月に実施された4つの模試(四谷大塚「合不合判定テスト」、日能研「志望校判定」、首都圏模試センター「小6合判模試」、SAPIX「志望校判定サピックスオープン」)受験者について、3回に分けて見ていきたい。

 まずは全体の動向から見てみよう。7月模試の総受験者数は4月模試同様、20年比2割増、19年比1割増で変わらなかった。21年入試は新型コロナ禍で前代未聞の事態が相次いだものの、それでも最終的な受験者数は前年比微減にとどまっている。08年秋のリーマンショックで大きく落ち込んだ中学受験熱が盛り返してきていることは確かで、22年入試では一気に弾みがつくことになりそうだ。

 この急増傾向は、40年間にわたり中学受験を見つめてきた森上展安・森上教育研究所代表の目にも、「このまま推移すれば、リーマンショック前の受験者数ピークと同じか、それを超えるかもしれない」という、文字通り前代未聞の事態として映っている。

 7月模試の様子を見る限り、どうやら22年入試はリーマンショック直前の水準に戻り、21年と比べて1割弱程度は総受験者数が上積みされるものとみられ、首都圏の中学入試には21世紀最多だった07年並みの受験生が参加するほどの勢いも感じられる。

 その要因としては大きく2つある。一つは新型コロナ禍で露呈した公立校の対応力不足である。もう一つは21年から中学、22年から高校で導入される新しい学習指導要領で示された学びへの対応力である。きちんとこうした事態に対応できる教育を子どもに与えたいと考える保護者の意向が中学受験熱に拍車を掛けている。

 まずは7月と11月の模試、2月1日(東京・神奈川)午前入試の受験者数の推移について、次ページの図1で見てみよう。入試実施年で示しているため、模試はその前年に行われている。22年入試には07年の数値を参考までに載せてある。それより上回るかも大きな注目点である。