村瀬拓男
最終回
昨年はグーグル問題に始まり、ジャパン・ブック・サーチ問題、アマゾンキンドルの上陸と、本とネット、デジタルとの関係が大きく変化する兆しが表れた1年でした。今回はまとめとして今年の展望をお話していきます。

第6回
長年、再販制度と委託販売制度のもとで、自由を謳歌してきた日本の出版社。しかし、電子書籍についてはこのような自由は必ずしも保証されません。各出版社は電子書籍の位置づけや価格政策を考える時期にきています。

第5回
「キンドル」より前に発売されていた「リブリエ」は、失敗に終りました。それは、既存の出版ビジネスと抵触させない、という売り手側の事情が透け、それを敏感な消費者が嫌ったという要素があったのかもしれません。

第4回
電子書籍リーダー「キンドル」が発売されました。「キンドル」発売以前、「リブリエ」が発売されていましたが、なぜ「キンドル」はアメリカで定着しつつあるにも関わらず、「リブリエ」は日本で失敗したのでしょうか。

第3回
エニグモ社が「コルシカ」という雑誌の販売サイトにて、出版社の事前許諾のないまま、購入者が雑誌のデジタルコピーを閲覧できるサービスを始めました。これは雑誌の「複製」であり、事前許諾のない限り著作権侵害です。

第2回
グーグル和解問題の公聴会が延期されたようです。和解案見直しが「手続」や「平等な競争」に絞られるならば、歓迎すべきですが、「デジタルと紙との共存ルール」に反故するならば、残念としか言いようがありません。

第1回
グーグル著作権訴訟問題をきっかけに、日本でも国会図書館が書籍データベース化を進める動きをみせています。ネットでの利用が活発になれば、「本」も「レコード」のようにネットに殺されてしまうのでしょうか。

最終回
グーグルのデジタル化構想は、紙の本の世界は可能な限りそのままに、デジタルデータのメリットが付加されるような制度設計となった。出版社と著者にとっても、「極めて穏当な近未来図」と言えそうだ。

第9回
国会図書館による蔵書デジタル化構想には、経済産業省がバックアップする動きもあり、「国策」とも言えるほどになってきた。それでは、この「国策」にのって「ジャパン・ブック・サーチ」は実現するのだろうか。

第8回
「本」の「デジタル化」において、グーグルは従来の商業出版市場との共存とともにデジタルならではの新しい利用を提案している。それに対して日本の国会図書館構想では、その段階に至っていないように思う。

第7回
デジタル化へ積極的に動き出した国会図書館だが、本文をテキストデータ化しておらず、グーグルとは似て非なるところがある。その背景には、著作権制度に宿る「権利の保護」と「利用」のジレンマがあるようだ。

第6回
改正著作権法が成立し、国会図書館は蔵書のデジタル化に向けて積極的な動きを見せている。これは日本での、インターネット時代における著作物流通のあり方について1つの回答といえる。

第5回
和解案により設立される版権登録機関。権利行使や利益分配は、権利者自身が版権登録機関に対して自らの情報を提供しない限り実現できず、グーグルは労せずして700万冊に及ぶ書籍の権利情報を入手できることになる。

第4回
グーグル和解案の日本における「絶版」の定義が明らかになった。日本の書協データベースやアマゾンの取扱状況に判断されるとのことだ。そこで問題になるのが、「品切・重版未定」商品を「絶版」と扱うか否かだ。

第3回
グーグルとの著作権問題が和解しても、グーグルがデータベースをすべて「タダ」で使えるわけではない。権利者には、グーグルが得た収入から一定割合が分配され、使われ方についても異議を唱える権利が与えられる。

第2回
グーグルは書籍データベース化をめぐる訴訟の「和解」により、膨大なコストを負担することになる。データベース化をどのように使うのか、そしてコストを回収するための収益モデルとはどういったものなのだろうか。

第1回
グーグルの書籍データベース化をめぐる著作権訴訟問題。突如起こったこの問題は米に留まらず日本にも波及しており、グーグルは「和解に対する態度を今年5月5日までに示せ」と一方的に迫っている。
