
山下 周
安倍政権が終わり、菅政権がスタートした。実は海外投資家は、2018年にアベノミクスで日本株が上昇するとの期待を完全に捨て去っている。菅首相がアベノミクスの継続性を維持するだけでは、市場が安定するとはいえない。海外投資家のマネーが日本の株式市場に流れるためには、海外投資家が菅首相を評価することが求められる。その評価ポイントを整理してみよう。

米国株は、新型コロナウイルスの感染拡大ペースの鈍化や大規模な政策対応、5-6月の経済指標の改善といった後押しによって上昇した。しかし7月以降は、個人消費が停滞し始めた可能性があり、財政サポートも緩むリスクが出てきた。S&P500の株価収益率(PER)は、過去10年で最高水準に達しているが、気停滞リスクが高まれば、PERの割高感が意識され、米国株を売る理由にもなる。今後の米国景気や米政府による財政政策のリスクを整理し、米国株の先行きを考察する。

コロナショック後のユーロドルは、リーマンショック時と異なり上昇した。ただ、投機筋のユーロ買い持ちは膨らんでおり、短期的にユーロ下落リスクはある。経常黒字など、ユーロ圏のファンダメンタルズを俯瞰するとともに、政治リスクを踏まえて今後のユーロ相場を考える。

米国株の上昇の勢いが止まらない。新型コロナウイルス感染拡大を受けた政府と中央銀行の対策を背景に、市場では「パウエル・プット」とでも呼ぶべき買い安心感が共有されている。しかし、米失業給付の上乗せ措置が7月までであるなど、政府の経済対策が息切れする可能性がある。また、米長期金利がレンジの上限を上抜けする兆しもみられる。考えられる米国株の反落リスク3つを紹介する。

行動制限や異例の大規模経済対策という政治判断を予測できていれば、今までの有事相場を乗り切れていたかもしれない。今後も、新型コロナウイルス感染の終息時期の判断や経済活動の再開など、政治の動きを正しく読み取ることが有事相場では重要だ。市場が安定するために政治に求められる姿勢を考えてみる。
