方向感に依存した米国株の反発
コロナ終息の兆しや政策対応が材料
米国株の上昇が続いている。新型コロナウイルスの感染拡大ペース(新規感染確認者数÷累積感染確認者数)が鈍化し、米政府による政策対応が米国株の買い材料となった。
S&P総合500種が安値をつけた3月下旬、新型コロナウイルスの感染拡大ペースは30%前後と高水準だった。しかしその後、感染拡大ペースは低下に転じ、市場参加者は先行きの感染終息を織り込んだと思われる。
大規模な金融緩和と財政拡大という政策対応の方向性が明確だったことも、米国株の上昇に貢献した。米連邦準備制度理事会(FRB)は、3月3日に緊急利下げを決定。3月23日には社債買入や民間企業への間接融資リスクを取るなど、質的緩和まで踏み込んだ。米議会は、党派を超えてコロナ対応で一枚岩となり、トランプ政権は3月下旬には2兆ドルを上回る景気対策を用意できた。次の政策対応は、追加緩和や財政拡大という安心感が、米国株の大幅反発につながった。
米景気は5月から改善
米国株の上昇を後押し
経済指標の改善も米国株の上昇を後押しした。4‐6月期GDPは前期比年率32.9%減と、1-3月期の5.0%に続き2期連続のマイナス成長となった。しかし、4-6月期の米景気を単月でみると、GDPの約7割を占める個人消費は5月が前月比8.4%増、6月は同5.2%増と大幅に改善した。
企業センチメントを示すISM景気指数も、製造業と非製造業でいずれも4月を底に上昇し、6月、7月は景気の分岐点とされる50を超えた。経済指標が改善方向にあれば、市場はGDPがコロナ禍前の水準まで戻る可能性を意識できる。