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【第77回】 2013年2月27日公開(2016年7月14日更新)
ザイ・オンライン編集部

「アベ相場」と「信用大回転」で、
個人投資家が株に戻ってきた!投資家の資金流入はこれからが本番!?

スゴ腕為替トレーダーも今年から株へ回帰

 「『今年は株しかないな』と。資金の一部を為替から株へと振り替えて株に復帰しました」

 そう話すのは、デイトレーダーのナッキーさん。投資を始めたきっかけは株だったが収支はトントン。その後、レバレッジを大きくかけられるFXに転向して開眼、2012年は約2000万円を稼いだトレーダーだ。

 2013年になって株へ回帰したナッキーさんのような動きはが決して特殊なわけじゃない。日本株市場全体の動向を見ても、個人投資家の株回帰は鮮明だ。

 「コールセンターへの問い合わせが急増しています。週明けともなると通常の3倍の入電があり、通常より増員して対応しています。問い合わせの内容も、相場低迷の時とは大きく変わってきていて、投資への意欲を感じるものが増えています」(マネックス証券・マーケティング部の宮本祐一さん)

 これを裏付けるように、マネックス証券の月間約定代金は2012年11月から2013年1月で3倍近くまで急増している。

乗るしかない、信用制度の規制緩和のビッグウェーブ!

 なにが個人の取引を後押ししたのか。最大の要因は、2012年11月の衆議院解散以降の相場上昇(いわゆる「アベノミクス相場」)であるのは間違いないのだが、もう1つ大きな要因があった。

 株高に加えて、ちょうど2013年1月から始まった「信用取引の規制緩和」が個人投資家の背中をググっと押したのだ。下の「投資主体別売買動向」のグラフを見てみると、2012年は10%程度でウロウロしていた信用取引の比率が、2013年2月第1週には20%近くと、実に倍増しているのだ。

 この「信用取引の規制緩和」とは何か? もう一度確認しておこう。

信用取引の規制緩和で「大回転」できるように!

 規制緩和で今年から「大回転」できるようになった信用取引。「規制緩和って?」という人のためにおさらいしておくと、主な内容はこの2つ。

(1)同じ日、同じ資金で、何度でも回転売買できる。
(2)決済して得た利益がすぐ次の信用取引に使える。 信用取引による実現利益は即座に保証金に充当される。

 今までの制度では、信用取引で買って売ってとデイトレードすると、その取引で使った保証金3営業日拘束され、「1日1回転」しかできなかった。

 それが今回の規制緩和で、やろうと思えば「1日10回転」でも「1日100回転」でもできるようになった。それだけ売買を機動的にできるようになり、デイトレーダーにとっては非常に大きなメリットなのだ。

確定利益は速攻、保証金として使える!

 (2)のほうも隠れたメリットだ。信用でデイトレして10万円の利益を得ても、去年までのルールだと、10万円の利益をその日の取引には使えず、せっかく儲けたのにと焦れったさがあった。今回の緩和では焦らしプレーをナシにして、決済したらすぐ次の信用取引に使えるようになったのだ。

 (1)により「信用大回転」が可能になって、しかも、それによって利益を得られれば、(2)によって保証金に即座に反映されて、金額的にも大きな取引ができるようになった――それが信用取引の規制緩和による大きなポイントだ。その結果、最初のグラフのように個人の信用取引が倍増するようになったわけだ。上の図を見てわかるとおり、直前の利益がそのまま次のトレードの余力に反映される。

「信用大回転」で保証金400万でも億の売買が当たり前!?

 信用取引の規制緩和を個人投資家はどう使いこなしているのか。前述のナッキーさんはデイトレで資金を「信用大回転」させまくっている。

ナッキーさんのトレードルーム。まさに「モニターの森」だ。最近は株の信用取引とFXを中心にトレードしている。

 「本格的に株をやるのは久しぶりなのでまだ肩慣らし。400万円ほどを使って取引していますが、1日の売買代金が4億円になってしまうことも。FXでは決済すれば同じ資金ですぐ次の取引ができるのが魅力だったんですが、信用取引の規制緩和でFXと同じような感覚で取引できるようになったのは大きいですね」(ナッキーさん)

 少ない資金でも何度も取引できるようになれば資金効率は高まる。保証金400万円のナッキーさんだが、1週間で資金と同じ400万円(!)を稼いでしまうこともあるという。

 もちろん、そんなのは「ナッキーさんのような腕があれば」の前提つきだし、腕のない人が回転させれば資金がみるみる減っていってしまう恐れもある。でも、「信用大回転」により、短期間に資金を大きく増やすチャンスがグッと広がったのは間違いないのだ。

金利と手数料、2つで信用口座を比べてみよう

 「信用大回転」時代の到来で、証券会社もキャンペーンや取引コスト引き下げなどを行なっている。信用取引の取引コスト比較では2つのポイントがある。「手数料」と「金利」だ。手数料が無料になったり、取引量が増すと金利が安くなるネット証券が多いが、それぞれに条件は異なるのでしっかり調べる必要がある。

 自分の資金や取引頻度に応じて、最適な証券会社を選んでいこう。規制緩和に株価上昇が重なった今、信用取引をはじめてみるチャンスだ!

塩漬け株の利確で積み上がったキャッシュが再投資へ

マネックス証券・マーケティング部の豊嶋斉部長(左)と、宮本祐一さん(右)

  最初のページのグラフで見たように、今年に入って株の信用取引の取引高が増加しているのだが、これが目先の動きなのか。あるいは、現物取引も含めて今後も拡大していくのか。

 「12月、1月の動きは塩漬けにしていた株が黒字になり『やれやれ、やっと利食えるな』という動きも多かったようです。コールセンターへの問い合わせも『IDやパスワードを忘れてしまったんだけど』といった内容が多くなっています。塩漬け株の利益確定でキャッシュになったポジションが動き出すのも、新規の投資家の方が本格的に参加されるのもの、これからだろうと期待しています」(マネックス証券・マーケティング部長の豊嶋斉さん)

 同社の2012年からの稼働口座数を見ると、2012年はほとんど横ばい。年末になって増えてきたものの、それでも2013年1月の稼働口座数の増加率は前月比1.8%程度。2005年からの上昇相場では新しく株を始める人が続々と現れて相場を押し上げてくれたが、今回はまだ「経験者頼み」の相場のようだ。

新規に口座を開いた人の資金は、これから入ってくる!?

 「2月も売買代金は1月以上のペースで伸びていますし、信用口座の口座開設もこの数年にない水準で増加中です。会場セミナーの参加者やネット視聴者数、来場者数も増えています。2月2日の当社セミナーに参加してくださった投資家のみなさんも、非常に熱心に講演を聴かれていました」(豊嶋さん)

マネックス証券が2月2日に都内で開催した、口座保有者向け投資セミナーは、定員2000名が満席。ネットの同時中継も視聴者約1000名を記録した。

 “アベ相場”で株に興味を持ち、新規に証券口座を開いたが、今はまだネット証券の使い方を確認したり、銘柄の物色中という段階の人も多いはずだ。本格的に市場に参入してくるのはこれからだろう。

 新たな資金が入ってくれば、さらなる大きな株価上昇にも期待が高まる。そのときへの備えとして、現物株口座だけでなく、資金効率を高めて回転売買ができる信用取引口座も作っておきたいところだ。

(取材・文/高城 泰)

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