安倍晋三首相は17日、都内で講演し、成長戦略のうち企業と農業の競争力強化策を発表しました。
3年間を企業に設備投資を促す集中期間として政策を総動員し、設備投資額を現在より1割増の年間70兆円規模に引き上げる目標を掲げ、農産品の生産や輸出を拡大し、農家の所得を10年で倍増する考えも表明しました。一方、企業の成長戦略は、国内の設備投資を呼び戻す手立てが柱で、具体策として、リースを活用する設備投資の普及を目指すということです。
このため、17日の株式市場では、農業関連やリース会社の株が賑わいました。
政府が応援する「自動走行関連株」に注目
なお、私が注目したいのは、農業関連やリース会社以外では、自動走行関連企業です。
政府は、新たなイノベーションに果敢に挑戦する企業を応援するそうです。その突破口は規制改革で、日本でも公道での自動走行の実証実験を進めるということです。世界で初めての製品の実験をやりたいが規制が邪魔をしてできない、そういう企業には代替措置を講ずるとの条件で、規制の特例を認める制度を新たに創設するそうです。
なお、2008年1月9日に米ゼネラル・モーターズ(GM)が発表したところによると、「2018年には運転手不要で自動運転が可能で、なおかつ目的地に到達すると自動的に駐車することが可能な自動車を販売する予定」だそうです。2015年にはテスト走行も行う予定であるとのこと。また、2012年9月25日には「2040年までに車の75%は自動運転カーになり道路交通システムは変化すると専門家集団が予測」と一部で伝えられています。
ちなみに、5月13~17日の東京株式市場では、日経500種平均株価の採用銘柄で、上昇率首位はルネサスエレクトロニクス(6723)でした。政府が自動車の自動走行の開発支援に動くとの報道を受けて、車載用半導体を手掛ける同社の業績に寄与するのではとの思惑から買われ、約1年1カ月ぶりに500円台に乗せました。
なぜグーグルが自動運転車の先頭を走っているのか?
ところで、自動運転車の開発には、既に世界の企業が取り組み始めていますが、意外なのは、自動車開発とは無縁に思える米グーグル(Google)が、この分野では先頭を走っているということです。グーグルが自動運転車を最初に発表したのは2010年のことで、それ以来、急ピッチで開発を進め、現在までに10台以上の実験車を開発したそうです。
グーグルが自動運転技術の開発に熱心な理由は、自動運転技術を磨くことで、「Google Maps」などの地図サービスに必須の地図情報を格段に充実したものにできるからと指摘されています。
自動運転技術では、車両に搭載したセンサーを使い、あらかじめ作った3次元の地図情報と走行中に収集する周囲の情報を照合することで自車の位置を推定し、最適な走行経路を計算するのです。つまり、地図情報を基に計算する技術が自動運転には極めて重要であり、これはグーグルの得意とするところです。
一方、自動車メーカーはグーグルを警戒しつつ、開発のアクセルを踏み始めたそうです。なお、自動車メーカーが焦っているのは、グーグルが自動運転車のOS(基本ソフト)の開発を手掛けようと目論んでいるためと指摘されています。
このような状況下、同関連銘柄としては、市場では次ページに掲載する5銘柄への関心が高まっているようです。
【1】クラリオン(6796)
Googleとの間で、音声認識「Google 音声検索」(グーグル 音声検索)および検索技術「Google Places」(グーグル プレイス)の活用に関する契約を締結した。クラリオンは、自動車向けクラウド情報ネットワークサービス『Smart Access』(スマート アクセス)において、Google 音声検索およびGoogle Placesを活用した最先端のクラウドサービスを、車載情報機器向けに提供開始する。
⇒クラリオン(6796)の最新株価情報はこちら
【2】ベリサーブ(3724)
携帯電話・スマートフォンなどの通信分野、カーナビゲーションシステム等の高度道路交通システム(ITS)関連製品、デジタル家電や産業機器や医療機器 、WEBシステムなどに使われるソフトウェアテスト、評価を第三者立場で実施する、第三者検証企業。ITSやスマートフォンなどの普及によって、ハードウェアと通信の融合がますます進む中で、次々と新しい検証サービス需要が生まれている。
⇒ベリサーブ(3724)の最新株価情報はこちら
【3】北陸電気工業(6989)
センサー部門の販売・開発を強化中。なお、同社は小型MEMS3軸加速度センサを、世界初の量産化を実現した。3軸加速度センサーとは、XYZ軸の3方向の加速度を1デバイスで 測定できる加速度センサ。安全で快適な自動車へのニーズが高まるなか、近年、自動車が横滑りやスピンを起こした際に、適正な走行状態に復元する横滑り防止システムの搭載が普及し始めている。横滑り防止システムでは、自動車にかかる角速度(回転)と、前後、左右に働く加速度をセンサで測定し、車体の動作を求める。さらに、その情報を操舵角(車体の進行方向)情報と比較して横滑りの有無を判定し、主に各タイヤのブレーキを制御して車両を適正な走行状態に復元する。
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【4】日本無線(6751)
ITS関連機器は、自動車産業拡大に伴い需要増加が期待できるカーナビ市場などへ拡販を図る方針。同社は道路情報システムを手掛ける。例えば、道路情報管理システムは、工事規制や道路気象等の情報をオンラインリアルタイムに収集し、道路管理者が的確かつ効率的に道路管理を行うためのシステム。さらに道路情報管理システムで収集した情報は、一般の道路利用者に対する情報提供にも利用されている。また、道路情報ガイダンスシステムは、道路情報板および路側放送を通じてドライバーへ提供する情報を、自動的に作成することができる。
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【5】JVCケンウッド(6632)
監視カメラシステムは各カメラで撮影した映像を通信機器で伝送し、中央監視室で一元管理する製品が主流になっている。人の検知には赤外線センサーなどを使う方式が多いが、検知範囲が限られたり、人や動物などを高精度に検知できないケースも少なくない。JVCケンウッドはデンソー(6902)のレーザーセンサーと組み合わせた監視カメラシステムを構築。レーザーセンサーは人や動物などを高精度に見分けることができるほか、対象物が移動した際に追いかけながら検知することもできるという。
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