小さく速く多く失敗すること

 このアクセラレータは、企業の戦略に基づき短期間(数ヵ月~1年)に、小さく速く多く失敗ができる。もし、同業他社がアクセラータをやっていない場合、他社よりも先行して知恵を蓄積でき、他社に対する優位性を速く構築できる。併せて、人材の囲い込みもでき、コミュニティ化を兼ねることができる。不確実性が高い新しい領域のどこが自社にとって「価値」を生むか定めにくい状況で、数を多く打つことができる。

 たとえば、インテル。1974年に5人でスタートして、現在は1万人以上の従業員がいるとされる。マイクロソフトなど他の企業が2012年頃にアクセラレータを始める中、後れをとっていたが、2015年にアクセラータを開始し、実に多様な企業の活動支援を行っている。インテルという世界最高峰の人材を抱える企業でさえ、外部のほうが優秀で、速く、多様性があることを認め、どう「外部の力」と連携するかの取り組みを積極的に行っているのである。

 グローバル企業にとって、R&D、M&Aや投資に比べて明らかにリーズナブルである。

 一方スタートアップにとっては、グローバル企業が何を考えているかわかりやすいので、買収されるまでのイグジット期間の短縮、高速化に繋がる。

 こうしたことは、スタートアップにとっても、無理のない形で成長、加速、イグジットまで可能となり、イスラエルのスタートアップエコシステムを見ると「エンジン」のような役割となる。エコシステム全体で、多様性の担保をし、早期の失敗をすることで、ノウハウが蓄積され、他国とのエコシステムとの差別化にも繋がっている。