証券大手、大和証券グループ本社の筆頭株主である米ファンドが、大和株のさらなる買い増しを推し進めている。

 11月1日、保有比率を10.01%と2ケタの大台に乗せたのは、米投資顧問のハリス・アソシエイツ(本社イリノイ州)が運用する「オークマーク・インターナショナル・ファンド」だ。運用額は約4880億円。そのうち大和株への投資比率は3.2%で2番目に多い(9月末時点)。

 ハリスが関東財務局に提出した大量保有報告書によれば、ハリスは2007年7月に大和株の5%強を保有して以降、同年9月には6.17%の筆頭株主に躍り出ていた。今年3月末時点で第2位株主の三井住友銀行が1.73%であることを鑑みれば、ハリスの保有比率の大きさがわかる。

 かくも大量に買い進める理由として、ハリスは「最大手の野村證券に比べて、大和は手ガネを使ったリスクの高いビジネスではなく、手数料で稼ぐ堅実経営だから」(ポートフォリオ・マネジャーのロブ・テイラー氏)と説明する。にもかかわらず、現在の株価は320円前後と「割安過ぎる」(同)というわけだ。

 だがこうしたハリスの行動には、別の思惑も見え隠れする。大和が近い将来、別の金融機関と資本提携する、あるいは買収される可能性を視野に入れているようなのだ。

 というのもこのハリスというファンド、かつて業界大手の日興コーディアルグループで不正会計が発覚し、株価が急落したときにも、日興株を7%以上買い占めた過去がある。その後、米シティグループが日興買収を決定した際にうまく売り抜けている。

 このとき、「簿価1200円前後で、約1700円で売った」(関係者)というから、約350億円の売却益を得たと見られる。つまり、これに味を占めたハリスは、今度は「大和が業界再編の引き金となり、多額の利益が見込める」と皮算用しているフシがあるのだ。

「日本の証券会社の数は依然、経済規模に比して多い。大手5社は、いずれ3社くらいに再編されるのではないか」(同)とハリスが見ている背景には、大和自身の苦境もある。

 昨年12月に三井住友銀行との合弁を10年ぶりに解消。銀行の後ろ楯をなくした大和は今年上半期、株式の引受額で前年同期の3位から7位へ転落。「ホールセール(法人部門)が今期も赤字となり、格付がこれ以上下がれば、ビジネスが成立しなくなる」(大和幹部)ところまで追い詰められている。

 ハリスはあくまで「現時点での見込み」としながらも、大和株の保有期間は「3~5年」という。ただ、それまでに自力で株価を上げていかなければ、かつての日興の二の舞いとなる可能性もある。まさに大和は、試練のときを迎えている。

(「週刊ダイヤモンド」編集部 池田光史)

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