フレックスタイム制が好評なのに廃止へ向かう理由フレックスタイム制の職場なら出勤での満員電車も避けられ、ストレスも軽減されますが…

 満員電車に揺られなくていい、自分の裁量で自由にタイムマネジメントができる…などというメリットから、「フレックスタイム制」が組織のストレスを解消してくれる存在として注目され、一気に導入が進んだ時期がありました。

 ところが、最近はあまり良い話を聞きません。なかには導入を中止する会社も出てきました。それは一体どうしてなのでしょうか。今回はその原因となっている、フレックスタイム制のデメリットについて考えたいと思います。

フレックスで職場がギクシャク?
不公平感アップ、人事部負担増の矛盾

「フレックスタイム制って挨拶のタイミングが難しいですよね」

 そんな悩みを語ってくれたのは、派遣会社に勤務しているSさん。中途採用で入社したのですが、前職の会社では始業と就業時間が決まっていました。毎朝朝礼があり、出勤してくるタイミングも全員同じくらい。なので、出社してきたタイミングには「おはようございます」とお互いに挨拶したものでした。

 転職後の職場では当然新参者なわけですから、挨拶などを積極的に行い、徐々に皆様に馴染んでいこうと思っていますが、同僚たちがフレックスタイムを利用していて、Sさんと出勤時間が全く合わないのです。

 遅く出社してきた同僚に「おはようございます」と挨拶しても、「今頃来たのですか?」というイヤミに受け取られるのは嫌だと思い、挨拶も徐々にしなくなってしまいました。すると、徐々に疎外感を感じる状況になってしまったようです。フレックスタイム制はいいことばかりのように思えていましたが、こんな風に悩んでいる人がいたのですね。

 同じように悩みを抱えていたのが、広告代理店に勤務しているGさん。マーケティング部門のリーダー職に就いているのですが、チームでプロジェクトを推進したくても、メンバーの出社時間がまちまち。

「チーム全体の会議の設定さえ調整が困難。チームをまとめることが簡単ではない」

 との悩みを教えてくれました。