三菱自動車が日産自動車との協業を拡大する戦略を打ち出した。資本提携も検討した仏プジョー・シトロエン(PSA)との蜜月関係は終わったのか。三菱自動車が日産・ルノー連合にくら替えしたともささやかれるが、内部を探ると悲願はやはり三菱自動車・PSA連合。では日産との提携はどんな意味を持つのか。
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まるでデジャブのようだった。三菱自動車が日産自動車と事業協力関係の拡大で合意することを発表した2010年12月14日、益子修・三菱自動車社長はカルロス・ゴーン・日産社長と固く握手を交わし、西岡喬・三菱自動車会長(三菱重工業相談役)は三菱自動車の経営を支援する三菱グループの重鎮としてこの提携に歓迎の言葉を送った。
業務提携の範囲にもかかわらず資本提携並みに仰々しく豪華にセッティングされた会場で三菱自動車の社長、会長が海外から駆けつけた提携先トップとともに壇上に立つ光景は、05年の共同会見とよく似ていた。一つ違うのはゴーン社長の席に座っていたのが仏プジョー・シトロエン(PSA)の会長だったことだ。
三菱自動車がPSAにSUV(多目的スポーツ車)をOEM(相手先ブランドによる生産)供給する提携に合意した5年前も、そして日産と提携を拡大した今回も、三菱自動車が次期中期経営計画を策定するタイミングだった。2000年に経営危機に陥り、いまだ経営再建の途上にある同社の中計には、計画の実現性を裏づける有望で具体的な提携が信用補完として欠かせない。
今回も11年度から始まる次期中計の発表に合わせて年内に提携が合意できるよう、三菱自動車は10年夏以降、日産との本格的な交渉へのアクセルを踏んだ。中計の目玉にしたいという7思惑が二つの提携に共通して存在していたからこそ、会見に既視感を覚えたのだ。
本命はいまなおプジョー
日産で中計の信用補完
三菱自動車は将来の資本提携も考える本命のパートナーを、業務提携を積み重ねたすえに資本提携も検討したPSAから、日産へと移したのか。この問いに関係者たちは一様に頭を横に振る。そして断言する。
「いまなお本命はPSA。日産との提携はむしろそれを裏づける内容だった」。これはどういうことなのか。