
2度目の経営破綻中のマレリホールディングスは、新たなスポンサーにドイツ銀行など5社で構成される外資系金融連合が決まったと発表した。これまでスポンサーは米KKR、メインバンクをみずほ銀行が務めてきたが、今後の再建は外資系金融連合主導で行われる。特集『自動車 “最強産業”の死闘』の#11では、関係者らへの取材を基に、「次のシナリオ」を明らかにする。(ダイヤモンド編集部 山本興陽)
最終黒字といわれるも、「キャッシュがない」
みずほ銀行は追加融資できず
「発表をしていないが、実はマレリの2024年度決算は単体もホールディングスも最終黒字の見通しといわれる。だが、とにかくキャッシュがない。ようやく資金面でめどが立った」。マレリホールディングスのスポンサーを決めるディールの関係者は安堵の表情を浮かべる。
マレリホールディングスは7月29日、新たなスポンサーが外資系金融連合に決まったと発表した。
外資系金融連合は、ドイツ銀行、ストラテジック・バリュー・パートナーズ(SVP)、MBKパートナーズ、フォートレス・インベストメント・グループ、ポラス・キャピタル・マネジメントの5社で構成される。
マレリは6月に、日本の民事再生法に当たる米連邦破産法第11条(チャプター11)を申請している。45日間のオーバービッド期間(既存の提案より高値の提案を募集する期間)を設けたものの、外資系金融連合を上回る提案はなかった。
また、8月1日にはつなぎ融資であるDIPファイナンスで、11億ドル(約1600億円)が利用可能になったと発表された。これによりマレリは、サプライヤーや利害関係者に対して支払いを継続できることになった。
冒頭で記したように、マレリはキャッシュがないため、出資や融資など“真水”で資金を出してくれるところを求めていた。ところが、メインバンクのみずほ銀行は、行内でマレリの債務者区分を「破綻懸念先」まで落としているとされ、新規融資はできない。みずほ銀行は身動きが取れず、そこに外資系金融連合が助けの手を差し伸べた。
マレリのスポンサーは、17年よりコールバーグ・クラビス・ロバーツ(KKR)が務めてきたが、今後は外資系金融連合に移り、26年にもチャプター11からの脱却を目指す。
裏を返せば、KKRとみずほ銀行の両社は、マレリ再建の舞台から距離を置く。ディール関係者らへの取材を基に、次ページ以降ではマレリの「次のシナリオ」を明らかにする。