本田もイチローもすごいのは「やり抜く力」
「学歴はすごいけど、仕事はまるでダメ」、「テストの点数はいいけど、決められたことしかできない」、「才能はあるからはじめは上手だけど、最後には練習をしっかりやっている子に負ける」……子どもから大人まで、IQや才能よりも「やり抜く力」が大事なことをじつはわたしたちも、さまざまな場面で感じていたのではないだろうか。
世界で活躍するサッカーの本田圭佑選手もかつてユースに上がることができずに、高校進学をした際に大きな挫折を感じたという。しかし本田選手は、「才能」だけにこだわることなく、粘り強さと情熱で夢を自分の力で形に変えてきた。
彼はこう語っている。「最後に成功すれば挫折は過程に変わる。だから成功するまで諦めないだけ」。
野球のイチロー選手も「僕は天才ではありません。なぜかというと自分が、どうしてヒットを打てるかを説明できるからです」と語っている。そう、イチローは才能の天才なのではない。自分の夢を実現するための粘り強さと情熱の天才なのだ。
イチローはこんなことも言っている。「努力をすれば報われると本人が思っているとしたら残念。第三者が見ていると努力に見えるが本人にとってはまったくそうではない、という状態になくてはならない」
これは「やり抜く力」にとってもっとも大事なことが何なのか、という話と共通している。「やり抜く力」でいちばん重要なことは、単にがんばることではない。努力だけでは「やり抜く力」は発揮されない。そこに必要なのは情熱だ。自分にとってかけがえのないことに取り組んでこそはじめて「やり抜く力」は発揮されるのだ。
自分の限界を勝手に決めているだけ
優秀な人やアスリートを見るとわたしたちはすぐに「才能があるからだ」と決めつけてしまう。しかしそれは「できないのは能力がないせいだ」、と自分が成功できないことの言い訳にしているだけなのかもしれない。
わたしたちは、勝手に無理だと思い込んでいることが意外に多い。なにかをやって失敗すると、それが自分の能力の限界なのだと思ってしまう。あるいは、ほんの少しやっただけでやめてしまい、ほかのことに手を出してしまう。人は誰しも人生で挫折を味わうし、自分の限界に直面することもある。しかし、
「やり抜く力」が強いということは、一歩ずつでも前に進むこと。
「やり抜く力」が強いということは、興味のある重要な目標に、粘り強く取り組むこと。
「やり抜く力」が強いということは、厳しい練習を毎日、何年も続けること。
「やり抜く力」が強いということは、七回転んだら、八回起き上がること。
(アンジェラ・ダックワース著『やり抜く力』ダイヤモンド社刊より)
誰でも「やり抜く力」を強化することによって、自分なりの「成功」を手にすることができるのだ。