子どもの「グリット」がみるみる上がる4大家庭ルール

世界の心理学者が長年追求してきた「人生で成功するのに最も重要なファクターは何か?」がついに研究で解明された!ビジネスリーダー、エリート学者、オリンピック選手……成功者の共通点は「才能」でも「IQ」でもなく、もうひとつの能力「グリット」(やり抜く力)だった――。これまでの能力観・教育観を180度くつがえし、世界的ベストセラーとなっている『やり抜く力 人生のあらゆる成功を決める「究極の能力」を身につける』から、その驚くべき内容を紹介する。

「難しいこと」を続けると、貪欲に取り組めるようになる

 短期的な実験においては、「大変なことに取り組むことで、ほかの大変なことにも取り組めるようになる」ことが、すでに証明されている。

 ヒューストン大学の心理学者、ロバート・アイゼンバーガーは、この分野の第一人者だ。彼は数十例の研究において、ラットを無作為にふたつのグループに分け、片方のグループには大変なこと(レバーを20回押したらエサを1個与えるなど)をさせ、もう片方のグループには簡単なこと(レバーを2回押したらエサを1個与えるなど)をさせた。

 つぎに、すべてのラットに別の難しい課題をやらせた。すると、このような実験を何度繰り返しても同じ結果が出た。簡単にエサをもらえたラットたちにくらべて、同じエサをもらうのに何倍も苦労したラットたちのほうがつぎの課題にも元気よく粘り強く取り組んだのだ。

 アイゼンバーガーの実験で私が気に入っているのは、なかなか独創的な実験だ。

 彼は実験用ラットのエサやりには、(1)「エサを金網つきの容器に入れ、金網のすき間からエサをかじらせる方法」と、(2)「ただケージの床にばらまく方法」のふたつの方法があることに気づいた。

 同じように大変な課題を与えても、ふだんから手間のかかる(1)の方法でエサを与えられているラットたちのほうが、我慢強く取り組むのではないか、とアイゼンバーガーは考えた。そして実験を行ってみると、結果はまさにそのとおりだった。

 まず、すべての若いラットに、幅の狭い板の上を通っていくとエサがもらえることを覚えさせた。つぎに、ラットたちをふたつのグループに分けた。半分のラットは金網つきのエサ入れのあるケージに入れ、すき間からエサをかじらせ、もう半分のラットにはケージの床にエサをばらまいた。

 1ヵ月後、すべてのラットに、空腹な状態で幅の狭い板の上をとおってエサを取りに行かせたところ、金網のすき間からエサをかじっていたラットたちのほうが、ケージの床にまかれたエサを食べていていたラットたちよりも、貪欲にエサを食べに行った。