人生最後のセレモニーといえる葬儀、終の棲家である墓。共にやり直しがきかないだけに、今のうちからじっくりと考えておきたいもの。ところが、実際には満足が得られず、後悔の念にさいなまれる人は少なくないようです。

 葬儀に絡むトラブルで最近多いのが、ブームとなっている「家族葬」(身内や近しい知人のみで行う葬儀)で見送ったところ、予想以上に会葬者が膨れ上がって会葬者への料理が足りなくなったり、知らされなかった知人たちから文句が殺到し、結局やり直す羽目に陥るというもの。

 墓の場合、交通アクセスが悪くても値段が安いために、郊外の霊園に遺骨を納めていたものの、遠方への墓参りが苦になり困り果ててしまうケースが増えています。

 共に背景にあるのは、高齢化と核家族化の進展という、社会の構造変化です。死亡年齢の高齢化による参列者の減少が、家族葬や直葬(通夜や葬儀、告別式を行なわず火葬だけ行う)の人気に拍車をかける一因となっていますし、墓の世話や管理が困難になったために、わざわざ郊外から都心へ墓を移動させる人が後を絶たないわけです。なかには、遺族が管理できないためなのか、コインロッカーに遺骨を遺棄するケースも増えているというから、事態は深刻です。

 そこで本特集では、こうした事態に直面しないためのノウハウを丁寧に紹介していきます。葬儀も墓も「小規模化」「低価格化」が進んでいることは事実ですが、一方で「おカネをかけてもいい」「その代わりこだわりたい」という消費者が増えていることもまた事実。

 ニーズが多様化していると言ったほうが実態に近いと言えます。こうした消費者の多様な「わがまま」に答えてくれる葬儀社の見分け方や、後悔しない墓選びのポイントを、余すことなくお伝えします。

 第一章では、「わがまま葬儀の新潮流」を紹介。葬儀は家族葬で質素でも、後日ホテルで「お別れ会」を開く消費者が増えていたり、霊安室でじっとしている代わりに、リムジン霊柩車で思い出の地をドライブするというサービスが登場したりと、顧客1人ひとりの気持ちを汲み取る新たなサービスが台頭してきています。葬儀に対する不満で最も多い「サービス内容と料金の不釣合い」についても、見積もりを簡単にチェックできる5つのポイントを伝授します。

 第二章では、「都心回帰する墓の最新事情」と題し、首都圏の厳選霊園価格ガイドや、本誌独自の視点による価格以外の霊園選び7ヵ条をお伝えします。墓や葬儀に関してよく起きるトラブルについても、「墓・葬儀のトラブル110番」で具体的な解決策を提示します。

 そして、何と言っても本特集の目玉は、第三章「全国350葬儀社 納得度ランキング」。全社に直接電話調査を実施、アンケートの回答なども踏まえて独自の指標で点数化しました。葬儀社を選ぶうえで必見のランキングです。

 早過ぎることはありません。本誌を片手に、これから準備を始めてみてはいかがでしょうか。

(『週刊ダイヤモンド』編集部 池田光史)