17歳の女子高生、アリサが現代に降り立った哲学者・ニーチェと出会い、成長していくという異色の小説『ニーチェが京都にやってきて17歳の私に哲学のこと教えてくれた。』その著者であり、哲学ナビゲーターとしても活躍する原田まりる氏と、シリーズ89万部突破のベストセラー『伝え方が9割』の著者である佐々木圭一氏の対談が実現。互いの著書のファンであるというお二人、哲学について、伝え方について、話が盛り上がりました。(構成/伊藤理子 撮影/小原孝博)

『ニーチェが京都に…』は京都観光的にも楽しめる本

佐々木『ニーチェが京都にやってきて17歳の私に哲学のこと教えてくれた。』は2作目なんですね。1冊目の『私の体を鞭打つ言葉』はエッセイ的な内容でしたが、小説は今回が初めてですか?

原田 小説を書きたいとは思い続けていて、文藝賞には応募し続けていたんですが、本として出版するのは初めてです。

佐々木 そうなんですね。いや~初の小説がこの内容とはすごいなあ。この本は京都が舞台ですよね。僕、京都に2年ほど毎月通っていたことがあるので、懐かしいなあと思いながら読ませていただきました。なぜ、京都にしたんですか?

原田 私が京都出身というのもありますが、情報量が多すぎる東京よりも、京都のほうがゆっくり物事を考えるのに適しているな、京都は「思惟の街」でもあるなと感じたんです。「哲学の道」もあるし、シンパシーがあるかなと思って。

佐々木 なるほど。巻末に地図も載っていますね。

原田 そうなんです。京都観光的に楽しんでもらえたらと思ってつけました(笑)。

佐々木 クリエイターとしては「変わっているね」っていうのはすごい褒め言葉なんですが、まりるさんはすごく変わっているなあと思いますね。哲学をこういう形でまとめたというのが、変わっているし、面白いなと。

原田 本当ですか?

佐々木 哲学って、絶対に仕事にも役立つと思っていて、何度も何度も読もうとしたんですが、読み切れたことがなかったんです。「読もう」という強い意志があるにもかかわらず。それが、まりるさんの本はすんなり、きちんと読めた。本当に勉強になりました。

原田 ありがとうございます!