哲学者の言葉の多くは、現代人の心にも沁みる

佐々木圭一(ささき・けいいち) コピーライター/作詞家/上智大学非常勤講師 新入社員時代、 もともと伝えることが得意でなかったにもかかわらず、コピーライターとして配属され苦しむ。連日、書いても書いても全てボツ。当時つけられたあだ名は「最もエコでないコピーライター」。ストレスにより1日3個プリンを食べる日々をすごし、激太りする。それでもプリンをやめられなかったのは、世の中で唯一、じぶんに甘かったのはプリンだったから。あるとき、伝え方には技術があることを発見。そこから伝え方だけでなく、人生ががらりと変わる。本書は その体験と、発見した技術を赤裸裸に綴ったもの。本業の広告制作では、カンヌ国際広告祭でゴールド賞を含む3年連続受賞、など国内外55のアワードに入選入賞。企業講演、学校のボランティア講演、あわせて年間70回以上。郷ひろみ・Chemistryなどの作詞家として、アルバム・オリコン1位を2度獲得。「世界一受けたい授業」「助けて!きわめびと」などテレビ出演多数。株式会社ウゴカス代表取締役。伝えベタだった自分を変えた「伝え方の技術」をシェアすることで、「日本人のコミュニケーション能力のベースアップ」を志す。
佐々木圭一公式サイト: www.ugokasu.co.jp www.facebook.com/k1countryfree
Twitter: @keiichisasaki

佐々木 この中で僕が好きな言葉は、キルケゴールの「情熱を持って生きないと自分の世界は妬みに支配されてしまう」。これって本当にそうだなと思って。

原田 他人を妬ましいと思うときって、すなわち他人の活躍やニュースなどに気を取られる時間が多いということ。つまり自分が忙しくない、充実していない時なんですよね。こういうの、自分に当てはまると感じる方もいらっしゃるんじゃないかなと。哲学者の言葉って、現代でも心に沁みるようなものがたくさんあるんですよね。

佐々木 哲学書は、原文のものを読まれたんですか?

原田 いえ、日本語訳のものです。それでも難しい言葉が結構出てくるので、説明するときには皆に理解してもらえるよう、少し表現を変えています。

佐々木 なるほど。

原田 例えば、キルケゴールの「たとえ全世界を征服し、獲得したとしても、自分自身を見失ったならば、なんの意味があるというのだろうか」という言葉も紹介しているのですが、本来ならば「意味」は「益」と書かれているんです。でも、多くの人にとっては「益って何やねん」だと思うので、わかりやすく「意味」に直したりとか。

佐々木 現代語訳までされているから、読みやすいんですね。哲学書ってところどころで難しい言葉が使われているから、そこで引っかかって読み進められなくなってしまうんですよ。

原田 やっぱりそうですか。