JR秋葉原駅前、最近では外国人の観光スポットとしても有名な、ヨドバシカメラ・マルティメディアAkiba。その6階、フィギアとゲームソフトの売り場を抜けて奥に進むと、ズラリと自転車が並んでいる。

  ザっと見て展示車は100台強。そのうち4割近くを電動アシスト自転車が占める。電動アシスト車は「人力と電力によるハイブリッド車」なのだから、立派な電化製品である。売り場にいた学生服姿の10代男女カップルが大幅値引き表示のポップを見ながらニコニコ。「こっちのママチャリっぽいのがいいね。でも、あっちのスポーツモデルも良さそう」とウインドウショッピングしていた。いうなれば、電動アシスト自転車は「子供でも、中・高校生でも乗れるEV(電気移動体)」なのである。

 ちなみに、欧州では電動アシスト自転車は「ペデリック」と呼ばれている。欧州で開催される次世代車の各種学会では、EV関連のプレゼンテーションの際、「ペデリック」をEV分類表のなかでLEV(ライト・エレクトリック・ビークル)の仲間として扱っている。

 LEVにはこの他にも、「セグウェイ」やトヨタ「ウイングレット」のような一人乗り移動体、スズキ「セニアカー」のような高齢者や身体の不自由な方のための小型電動車、あるいは中国で累計1億台を超えた電動二輪車、さらにはドイツ、オーストリア、スイスなどに見られる電動の小型三輪車も含まれる。

 さて、もっとも手軽なLEVである、電動アシスト自転車。その市場概要とヤマハ発動機の事業内容については、本連載の第70回で紹介した。今回はその対抗馬、ヤマハ発動機関係者がいうところの「パナ陣営(パナソニックサイクルテック、三洋電機)」を取材した。ちなみにパナソニックサイクルテックでは「ヤマハ・BS(ブリヂストン)連合」と呼んでいた。

パナソニックサイクルテック本社(大阪府柏原市)。周囲は大和川が流れる丘陵地帯。アップダウンがある地形を利用して、テスト走行を行っている。

 JR大阪環状線・天王寺駅で、近鉄大阪線に乗り換え急行で16分、河内国分(かわちこくぶ)駅に着いた。この辺りは藤井寺市にほど近い大阪市の南東部だ。駅を出て、大和川沿いの小高い丘を徒歩10分。途中の電柱の上部に「パナソニック電動アシスト自転車」の広告が目立つ。

 パナソニックサイクルテック(英文表記:Panasonic Cycle Technology Co.Ltd/2006年7月ナショナル自転車工業株式会社から社名変更)の起点は1950年、松下幸之助の「輪界復帰宣言」(松下電器産業株式会社・輪界事業部設置)にまで遡る。