「電動アシスト自転車出荷台数、バイク抜く」――。2011年1月25日、読売新聞ウェブ版の小さな記事に目がとまった。
2010年の電動アシスト自転車の国内出荷台数(速報ベース)が前年比4.6%増の38万1721台となり、外国メーカー車を除くバイク全体の同出荷台数(前年比0.1%減の38万242台)を、初めて年間で上回ったことが明らかになったのだ。
自動二輪車の国内市場が急減している状況については、2010年4月19日掲載の本連載第40回「販売台数がピークの9分の1に急減!日本製オートバイのあまりにも厳しい前途」で分析した。そうしたネガティブな流れはまだ続いている。だが 今回このニュースを受けて、書きたいと思っているのは、バイクのことではない。その正反対のポジティブな流れにある電動アシスト自転車について、ここで深掘りしたいと思う。
まず、電動アシスト自転車を含む自転車全体の出荷台数推移を把握するところから始めよう。
クルマ離れ、バイク離れ、環境意識の高まり、自転車専門量販店の普及、ホームセンターや家電量販店での自転車売り場の拡大、また昨今のスポーティな高級自転車の販売好調などの観点から「日本では自転車が売れている!」というイメージを抱く読者は多いはずだ。ところが、業界団体のデータで見ると、バイクほどではないが、自転車も大幅な減少傾向にあることが分かる。
財団法人・自転車産業振興協会の自転車協会会員統計では、自転車を16車種に分類している。同データは1985年分から公開されているが、電動アシフト自転車が独立の車種として統計に加わったのは1996年からだ。
完成車の国内出荷数量の推移を見ると、80年代後半バブル期に600万台弱から急増し、90年に814万台でピーク。その後94年までは700万台をキープするが、96年から600万台となり、2001年からは下降傾向が鮮明になった。03年に600万台割れ、06年に500万台を下回り、現在は400万台前半だ。
ところがこの数字、近年は市場実態と乖離していると指摘されることが多い。自転車の業界各誌は、じつは「国内市場規模は900~1000万台だ」と報じている。これは、自転車産業振興協会に所属していない商社などが近年、中国製の安価な自転車をホームセンターなどで大量販売しているためである。