2017年分の確定申告から、「セルフメディケーション税制」という医療費控除の特例が始まる。
セルフメディケーション税制は、国民に市販薬の使用を促し、国の医療費を削減することを目的に導入された制度で、ふだんから病気予防や健康増進に努める人の税金を優遇しようというものだ。
これまでの医療費控除は、原則的に1年間に使った医療費が10万円を超えないと利用できなかったが、セルフメディケーション税制は町の薬局などで購入した市販薬が1万2000円を超えると税制優遇が受けられる。
ただし、対象となる市販薬の種類や利用できる人にはいくつかの条件がある。どのような人が利用できるのか、詳しく見ていこう。
対象のスイッチOTC薬は
82成分1555品目
確定申告の課税対象になる「所得」は、公平な税負担になるように、収入からさまざまな「控除」を差し引いて計算することになっている。医療費控除は、その所得控除のひとつで、原則的に1年間に使った家族みんなの医療費が10万円(総所得金額200万円未満の人は、総所得金額の5%)を超えることが申告の条件だ。
今回、セルフメディケーション税制が導入されたことで、2017~2021年分の申告に関してはハードルが下がり、ドラッグストアなどで購入した市販薬の総額が1万2000円を超えると申告できることになった。
とはいえ、市販薬ならなんでも認められるわけではない。控除の対象になるのは、薬局など販売されている「スイッチOTC」と呼ばれる医療用成分が配合されたものになる。
スイッチOTC薬は、従来は医師の処方せんが必要だった医療用医薬品のなかで、使用実績や副作用歴などから一般用医薬品・要指導医薬品に転用しても大丈夫と判断され、薬局などで市販されるようになったものだ。
今回は、鎮痛剤、風邪薬、胃腸薬、鼻炎用内服薬、水虫・たむし用薬、肩こり・腰痛・関節痛の貼付薬などのうち、82成分、1555品目がセルフメディケーション税制の対象となった。
たとえば、鎮痛剤の「ロキソニンS」、抗アレルギー薬の「アレグラFX」、胃腸薬の「ガスター10」、風邪薬の「パブロンS」などで、対象商品のパッケージには「セルフメディケーション税控除対象」と書かれた識別マークがつけられる予定だ。