今年はやはりチャリティ元年なのか? 昨年末から今年初頭にかけて話題になった「タイガーマスク現象」に続き、社会セクターで大きな話題になったのが「東京マラソン」である。

初回ながらも大成功。
集まった寄付は7000万円超!

 この連載の読者ならご存じかと思うが、今年の東京マラソンでは史上初めて「チャリティーランナー枠」が設けられた。これは、「東京マラソン2011」で実施されたチャリティ活動に、10万円以上寄付した個人を対象として、希望者(先着1000名)がチャリティランナーとして走ることができるというもの(フルマラソンのみ)。

 東京マラソンは大人気で、ランナーとして参加するためには高い倍率の抽選に勝ち抜かなくてはならい。毎年応募して、毎年落選している人も多いようだ。しかし、チャリティランナーであれば先着順ではあるが、10万円以上を寄付すれば確実に走ることができる。というわけで、このチャリティランナー枠、最終的に700名を超える応募があり、約7200万円の寄付が集まったという。

今回参加したチャリティランナーと石原都知事(写真左)。参加基準は、10万円以上寄付が前提。最終的には707名がエントリーし、7184万5000円の寄付が集まったという。有森裕子さんもランナーとして出走した(写真右)。

 初回としては大成功だったと思う。来年以降も継続して、ぜひロンドンマラソン並みの大規模なチャリティ・イベントへと発展してほしい。

 1月23日に実施された湘南国際マラソンでも参加ランナーに対してチャリティの呼びかけが行なわれた。ランニング・ブームの中で、チャリティランナーを増やそうという気運も高まっている。東京マラソンに刺激されて、他のマラソン大会でもチャリティ枠が増えることも期待したい。

行政がNPOのために
寄付を集める時代

 さて、今回のテーマはチャリティランナーではない。東京マラソンのファンドレイジングの成功を見て思ったのは「中間支援団体としての行政機関」である。参加者の9割がチャリティランナーで、約63億円もの寄付(2009年)を集めるというロンドンマラソンにはまだまだ及ばぬものの、たった1日のイベントで7000万円もの寄付を集める。これは日本の寄付市場の中では、大きな成果であるといえる。行政の力がこの成功をもたらしたともいえる。

 東京マラソンの主催者は一般財団法人東京マラソン財団だが、この財団の設立者は東京都と日本陸上競技連盟である。評議員名簿を見ても役員名簿を見ても、東京都の職員がずらりと並んでいる。すなわち、東京都は事実上、東京マラソンの主催者の一員である。つまり、行政機関が(事実上)主催するスポーツ・イベントを活用してファンドレイジングを行なった。そこに筆者は日本のファンドレイジング、そして社会セクター成長の大きな鍵を感じるわけである。