単純労働の外国人受け入れも

 また、政府は遂に単純労働の外国人の受け入れに踏み出す論議を始めた。「1億総活躍社会」の実現を目指すために総理の私的諮問機関として「働き方改革実現会議」を設け、9月の初回会合で検討された。

 介護をはじめ、育児や建設、農業など人手不足の分野でそれぞれ国別、業種別に国の管理下で外国人労働者を受け入れようというものだ。2国間での交渉で詳細を詰めていく。このための制度設計や法整備を目指す。

 現在、日本で働く外国人は、日系人や日本人と結婚した人たち、研究者や経営者などの「高度専門人材」、留学生のアルバイト、技能実習制度による実習生などがいる。合わせて2015年10月時点で90万7896人。その後の増勢で100万人は超えているだろうが、それでも、少子化による生産年齢人口の急減には追い付かない。

 今や有効求人倍率が3倍を超えた業種も出てきている。そこで、政府は重い腰を上げ、思い切った政策転換を図ろうと動き出した。

「単純労働者の入国は認めない」「移民は解禁しない」と言い続けてきた基本政策の変更となる。それだけに、労働界や政権内からの反発が予想されるが、経済成長一辺倒の政策を掲げる政権には避けられない対策となってきた。
次の議論は移民の解禁であろう。

 足元では、既に日系人に対して特別に単純労働を認めている。労働力不足に陥ったバブル期の1989年に出入国管理法を改正し、3世までの日系人に在留資格と就労を認めることとした。その多くはブラジルやペルーなど中南米諸国の日系人で、自動車や電機業界などの下請け企業で働き出した。

 ここでも先例がある。韓国は、2004年に「雇用許可制」を取り入れ、政府の管理下での単純労働者の受け入れに積極的に取り組んでいる。

 中国やフィリピンなど15カ国と覚書を交わし、単純労働者が2015年10月末には約27万7000人に達した。翌16年には、再入国者1万2000人を含めて、約5万8000人が加わるという。

 事業者は、2週間程度の採用募集をしても採用できなかった時に外国人を雇用できる。製造業が最も多く、建設業や農畜産業、漁業などに広がっている。

 こうした施策もあって、韓国では外国人労働者が94万人となり、日本よりも多い。

 台湾でも、単純労働者の受け入れもあって約59万人にも達しており、この10年間で80%も増えている。