親の振舞い・学習習慣こそが、無言のしつけ

 単に頭と学歴がいいだけの偏差値エリートと一流のプロフェッショナルを比べたとき、その差の多くがしつけに起因する「自制心」にあることが多い。

 そのしつけの内容は、「時間に遅れてはいけない」「無駄遣いをしてはいけない」「メリハリをつける(勉強するときはする、遊ぶときは遊ぶ)」「宿題をさぼってはいけない」など多くが基本的な生活習慣に関するものだが、これら自分を律する自律心は社会に出た後で一流と二流を大きく分ける素養であるのは確かだ。

 親からしつけも勉強も何も言われなかった、と語る「一流の人材」は案外多い。私は、とびきり優秀な友人たちに「いったいどんな家庭教育方針だったのか」としつこく聞きまわってきた。そこでは自主放任だった、何も言われなかった、と言っている人に限って、ご両親が自然と勉強熱心であり、子どもは何も言われなくても親の姿を真似してきたケースが非常に多かったのだ。

 思えば、ビジネスで大成功している出世頭は“両親とも学校の先生だった”というケースが驚くほど多い。もちろん大学教授や学校の先生であることが重要なのではなく、大切なのは親が自分自身の学習習慣や日ごろの立ち振る舞いで、無言のしつけをできているということであろう。親の振る舞い方の通りに子どもは育つということを肝に銘じておきたい。

 ここでは「バーベキューパーティーを開けばバレる」二流のビジネスパーソンと一流のビジネスパーソンの行動様式の違いおよびその源流となるしつけの大切さについて論じてきた。

 学歴と偏差値が高いだけの、旧来型エリート教育の悲惨な末路が、バーベキューパーティーで何の準備も手伝わず、高い肉だけひたすら食べ続ける、私のような「恥ずかしい二流の人材」である。

 我々は、バーべキューのような「日常生活の素朴なワンシーン」にこそ、その人の人格や仕事に対する態度、他人に対する配慮のすべてがにじみ出てしまうことを肝に銘じて、受験勉強に偏らず、しつけの質を上げていかなければならないのだ。

 大人になった後で、受験勉強を強制されたことを感謝している子供はいなくても、しっかりとしつけをしてくれたことを親に感謝しているビジネスリーダーたちは驚くほど多いのだから。

(※本原稿は『一流の育て方』から編集して掲載しています。本書の感想は、ミセス・パンプキン公式サイトまでお願いいたします)