わが子がぐんぐん伸びる!中高一貫校&塾&小学校【2026年入試版】#1

関西の中学受験が沸騰している。直近の2025年入試では、少子化をものともせずに受験者数が増加し、受験率が過去最高を記録した。西の中学受験に一体何が起きているのか。特集『わが子がぐんぐん伸びる!中高一貫校&塾&小学校』の#1では、浜学園の松本茂学園長、日能研関西の森永直樹取締役、進学館√+(ルータス)統括、アップの吉田努執行役員という関西の中学受験を知り尽くす重鎮3人が初めて一堂に会し、26年入試の行方から、注目校、後悔しない志望校の選び方まで語り尽くした鼎談の前編をお届けする。(ダイヤモンド編集部 宮原啓彰)

関西の2025年の中学受験入試は
大阪が「東京化」して独り勝ちに

――関西における中学受験の直近2025年入試の総括からお願いします。

森永直樹・日能研関西取締役 口火として全体的な数字から言うと、日能研関西のまとめでは、関西2府4県の25年中学受験の受験者数は、1万7583人で前回24年入試から271人増、受験率は10.52%で同0.35ポイント増と特に受験率が跳ね上がりました。

 われわれが把握している限り、受験者数の3年連続の増加は2000年以降で初めてで、受験率は過去最高です。本日の大きなテーマになると思うのですが、その背景にあるのは「大阪の東京化」だと考えています。実は、京都府や兵庫県の25年入試の受験者数は減っているんですが、それを超える爆増が大阪府で起き、全体の数字を引き上げた構図だからです。

浜学園・松本氏まつもと・しげる/浜学園学園長。同塾講師歴24年。社会科主席主管を務めたのち、2022年4月より現職。同塾は24年入試で、「関西最難関9校」における塾別合格者数で9校全てに最多の合格者を出す「グランドスラム」を達成した。

吉田努・アップ執行役員 ご指摘の通り、エデュケーショナルネットワークの調査で府県別に見ると、前回24年入試と比べて、大阪は志願者数の段階でおよそ2400人(延べ数)増加し、関西の25年の統一入試日である1月18日午前入試の受験者数では、大阪が566人増で7.1ポイント増だったのに対し、京都は180人減(6.7ポイント減)、兵庫は92人減(1.9ポイント減)となっています。

 また受験率では、大阪は前回24年入試の11.2%から25年入試は12.2%へと1ポイント伸ばして、初めて12%を突破しました。受験率だけ見れば京都(12.8%)にはまだ及びませんが、京都の方は前回から0.5ポイント下がったことを考えれば、まさに大阪の独り勝ちの状況です。

日能研関西・森永氏もりなが・なおき/日能研関西取締役。同塾で教室長、進学情報室室長、教室統括部長などを歴任し、2017年より現職。現在は教室と広報セクションを統括するとともに、学校・教育情報を発信している。中学受験イベントへの出演多数。

松本茂・浜学園学園長 第1志望校を受験する統一入試日以降に実施されたB日程試験や2次試験において、大阪の受験生は他府県の学校を越境して受験せず、あくまで大阪府内の学校から受験校を選ぶケースが増えたイメージですね。

アップ教育企画・吉田氏よしだ・つとむ/進学館√+(ルータス)統括。アップ執行役員首都圏中学受験事業本部本部長。関西大手塾、馬渕教室(ウィルウェイ)で絶大な人気を集め、同塾の灘中合格者数急増の立役者となる。2021年にアップに電撃移籍して現職。「世界一受けたい授業」(日本テレビ)ほかメディア出演多数。著書に『合格する家庭が必ずやっている、中学受験勉強法「自走サイクル」の作り方』(KADOKAWA)。

――なぜ大阪だけ受験者数が突出して増えたのでしょうか?

次ページからは、大阪の受験者爆増の理由とともに2026年入試の行方、さらには灘や東大寺学園、大阪星光学院など「関西最難関9校」のグループ再編や、伸びる注目の中堅校などを、関西の中学受験塾を代表する3人が語り尽くす。