「20年後、子どもに感謝される育て方」とは?

 少子化の急激な進行により、生産年齢人口が大きく減少している。一人あたりGDPは2000年の3位から大きく後退し、我々は「一人一人の生産性向上」という難題に直面している。生産人口の減少を補う付加価値の高い人材、特に海外で活躍できるグローバル人材やイノベーション人材の育成が急務であり、日本の教育は「受け身型・知識偏重型」から「課題解決型・双方向授業」への転換が求められている。

 グローバルリーダーの育成という錦の御旗の下、英語教育の強化やアクティブ・ラーニングなど掛け声は大きいが、これらを支える環境整備はどう進めていけばよいのか。教育の現場である学校も家庭も、未だに見通しが立たない手探りの状態だ。

 発売後約半年で20万部を突破した『一流の育て方 ビジネスでも勉強でもズバ抜けて活躍できる子を育てる』の著者、ミセス・パンプキン氏とムーギー・キム氏が、栃木県公立小中学校教頭会主催の講演会に招聘され、「20年後感謝される育て方」をテーマに、同県内の約500人の教頭先生を前に、本書の内容を議論した。

「子育て」が終わってから後悔しても遅い

 パンプキン氏は、長男ムーギー・キム氏を含め、2男2女をグローバル・プロフェッショナルに育て上げた。長女がカナダの大学の教員、次女がロンドン勤務の公認会計士、長男のキム氏はシンガポール在住で投資会社を経営、次男はニューヨーク州弁護士と、4人揃って世界を舞台に活躍している。彼らを育てた豊富な育児経験を元に、長期にわたって連載している東洋経済オンラインの育児相談コラムは非常に人気が高い。

 だが、パンプキン氏はあくまでも謙虚だ。

「私は普通の関西のおばさん。そして私の子どもは天才でも秀才でもなく、特に息子二人は『放っておいたら絶対にアカン子』でした」

 幼少期のキム氏は、「ザリガニ取り・プロレス観戦・熱帯魚の飼育」に夢中で、母から「勉強しなさい」とガミガミ言われたところで梃子でも机には向かわない、わんぱく坊主だった。

「うちは自営業で、夫も姑も私も、朝から晩まで働き尽くめでした。朝刊を読むのは夜中の0時を過ぎてから。とにかく忙しくて、子どもの個性をまったく無視したり、子どもの自立を待たずに過保護、過干渉に育ててしまった反省が多々あります」

 500通にも上る育児相談では、反抗期の中高生に関する悩みが多いという。

「鉄は熱いうちに打て、と言いますが、私のように子育てが終わってからようやく『あぁ、こうしてやればよかった』と、その重要性に気づく人が案外多いのでは、と思います。

子育ては家を建てる際の基礎工事のようなもの。後から突貫で立派な壁や屋根をつけようとしても、基礎工事ができていなければ家は建ちません。だからこそ、その教訓を子育て中の親御さんに生かしてもらいたくて、『20年後に感謝される育て方』として本にまとめたのです」