従業員をファンにする
ヤクルトの強さ

世界で高評価の日本ブランド・ベスト40!自動車メーカーが圧倒的強さインターブランド社長兼CEOの並木将仁氏

 一方、日産はトップダウン戦略の成功例として見ることができる。カルロス・ゴーン社長兼CEOは最近、日経新聞の「私の履歴書」に登場。連載第22回目では「腰据えてブランド力磨く」と題し、トップ自らがブランドを重要視する姿勢を示した。

「電気自動車(EV)と自動運転に技術を集中させており、他社に先駆けた商品も出しています。『売れるクルマをとにかく出そう』というようなスタンスではブランドは育たない。日産は明確にターゲットを絞り、技術の強さというイメージを定着させています」(並木社長)

 自動車以外で並木社長が注目するのはヤクルト(28位)。ブランド力強化というと、顧客を対象にした施策をイメージしがちだが、「インターナルブランディング」、つまり社員のロイヤリティ強化や“社内のファンづくり”も立派なブランド戦略の一環だ。ヤクルトは、これに成功している企業と言える。

 ヤクルトは世界各国の販売員が集う「ヤクルト世界大会」を開催するなど、販売員とのコミュニケーションを重視する会社だ。商品の良さを知り、商品を愛するマインドを持った販売員を育成することは、ブランド力強化に他ならない。「広告宣伝をすればブランドイメージが上がる、と考えるのは間違い。提供する商品やサービス、そしてそれらを体験する販売店などの空間、さらに提供する人や伝え方など、企業活動のあらゆるシーンでブランドが体現されていることが重要なのです」(並木社長)。

金融のがんばりが目立つ
苦戦する電機メーカー

 前述したように、グローバル版にランクインされるのは「海外売上高30%以上」のブランドのみ。30%未満のブランドは「Japan’s Best Domestic Brands」(ドメスティック版ブランドランキング)にまとめられる。

 つまり、グローバル展開が加速して海外売上高が3割を超えれば、その時点でグローバル版ランキングに上がる仕組みなのだが、今年初めてグローバル版に上がったのが東京海上(15位)。また、昨年は三菱UFJフィナンシャル・グループ(MUFG、6位)がグローバル版に初登場した。今後も金融業界のグローバル化はますます進んでいくと見られる。

 一方、苦戦しているのが電機メーカー。過去を振り返れば、2010年版では東芝が9位、シャープが10位にランクインしていたが、今では圏外に転落。かつての栄光は見る影もない。パナソニック(7位)は順位こそ健闘しているが、ブランド価値成長率は前年比マイナス1%。イマイチ元気がない。

 しかし、ソニー(5位)は成長率が8%と、久しぶりにプラスに転じた。業績悪化に伴って選択と集中を行った結果、「ようやく、テクノロジーで新しい方向性が見え始めたという段階」(並木社長)。まだ力強く成長するブランドとまでは言えない状況だが、少なくとも底を打ち、再生に向かう姿が確認されたと言える。

 過去の例を見れば、オリンパス(30位)や日産も一度、グローバルランキングから姿を消した後、復活を遂げた。企業が再生する過程では財務基盤の健全化ももちろんだが、ブランドの再構築が欠かせない。ブランドの再生が確認されてこそ、真に企業が再生したと言うことができるはずだ。

(ダイヤモンド・オンライン編集部 津本朋子)