そこで、われわれが出会った人々や、体験した素晴らしい文化・音楽を観客に伝えたいと決めました。もちろん、海底で発光した生物が出てくるシーンではピクシーダスト(妖精がまとう輝く粉が代表例)を入れるなど、ディズニーらしさも溶け込ませています。

 私のお気に入りは、エイとなったモアナの祖母が彼女を助けるシーンです。ここは宮崎駿監督作品っぽくていいかなと思っています。

われわれは宮崎作品が
本当に大好き

──クライマックスシーンも宮崎監督作品『千と千尋の神隠し』を連想させるところがありました。宮崎作品の影響を受けているのでしょうか。

マスカー 多少なりとも、ありますね。ボスのジョン・ラセターを含めて、われわれは宮崎作品が本当に大好きですから。彼の作品の多くに自然の力強さや自然を擬人化したような表現がありますが、そのような影響を受けたところが表れたのかもしれません。

Photo by A.S.

クレメンツ 本作のオープニングには、幼いころのモアナが小さな亀を助け、そこで海との絆をつくるシーンがあるのですが、それがクライマックスに関係してきます。また、ある問題に対しての解決方法は「戦う」ではなく「癒やし」である。そんなところにも宮崎作品っぽさがあるのかもしれません。

 オセアニアの島々には自然が擬人化された神話が多く残っています。そこに住む人々は海とのつながりを常に感じています。「海は生きている」と考え、海を生き物のように扱う。そのことも作品に影響を与えています。

──3DCG技術によって、海を生き物のように再現することに成功していますね。

マスカー 過去に手掛けた『リトル・マーメイド』では、手描きアニメーションで海を描きました。そのときはそのときで大変でしたが、今回はその100倍、大変でしたね。宝石のような美しい海を見せるには空間や質量、光の屈折や反射など、CGで表現しなければならないことがたくさんありました。また、『アラジン』の魔法のじゅうたんのように、海にも命を与えたい。そのために、キャラクターとエフェクトのアニメーターたちが一緒になって海の表現に挑みました。