2011年3月、JR博多駅に新たな商業施設がオープンしました。
「JR博多シティ」。延床面積20万平方メートルという巨大な駅ビルです。日本最大級の駅ビルとして今、注目を集めています。
3月に開業した商業施設の中には震災の影響もあり苦戦しているところもありますが、同施設はオープン1ヵ月の客数、売上共に好調で、目標を大きく上回る結果となったようです。
震災後の今も客を集めるこの施設の特徴、狙いとは何か。九州から日本を元気にしようと頑張っているJR博多シティをレポートします。
3月は726万人が来店!
年間売上目標670億円に向けて好調発進
オープンから1ヵ月が経った今も、同施設は好調を維持しています。
JR博多シティの主要テナントである専門店街のアミュプラザと阪急百貨店の売上目標はそれぞれ300億円と370億円(400億の目標を修正)。両施設の年間売上目標をあわせると、670億円にのぼります。
2011年3月の来店客数は、目標を20%も上回る726万人で、1日の平均来店者数は24万人となりました。最も多かったのが3月20日の約34万人で、それをピークに4月以降もたくさんの方が来店し続けています。
アミュプラザの売上は非公表ですが、30億程度の売上に到達した(筆者推測値)ようで、目標比28%増で3月を終えています。
一方の阪急は、3月における1ヵ月間の来店客数が454万人、1日の平均来店者数は約15万人です。これは大都市の百貨店の中でも非常に多い客数です。
その結果、阪急の3月の売上高は43億円となりました。天神地区の百貨店が軒並み2ケタマイナスとなる中で、目標を13%も上回ったのです。
全国の商業施設、特に百貨店が苦戦を続ける中、なぜ博多の同施設はここまでの実績をあげられるのでしょうか。
博多の商業中心地は「天神」から「博多駅」へ?
日本で一番盛り上がる商業施設が採った“包み込み戦略”
博多駅の再開発は長い時間をかけて進められてきました。
実際、私の知人で九州のある百貨店の経営者だった方からも、10年近く前から博多の再開発の話を聞いていました。
もともとは北九州市に拠点を置く百貨店・井筒屋が博多駅に出店していたため、同店がそのまま入居するという話もあったといいます。ですが、結果的には出店せず、新たにテナントとなる百貨店を誘致して再開発がスタートすることになりました。