多様な選択肢があることが
豊かな社会の象徴

 JFが主張し、私も共感しているのは、飲食店は多様なメニューとともに、多様なサービスを提供する必要があるということ。そして、そのことによって、お客さまが好みに応じた店を「選択できる自由」を持つことが大事という考えです。喫煙もその一つであって、利用者にとって選択肢が多ければ多いほど、豊かな社会といえます。いまの日本は事業者の努力によって、豊富な選択肢がかなり実現できています。それをわざわざ原則禁止にするというのは、利用者の選択肢を狭めることになりはしないか。ここが、最も懸念するところなのです。

 法案にあるように、喫煙室の設置によって利用者の選択肢を確保すればいいという意見もあるかもしれません。しかしいま、そのようなスペースと資金力がある大手企業は、既に禁煙あるいは分煙にしています。それができない個人営業の飲食店が、逆に愛煙家を囲い込むことで、大手チェーンに対抗する強みのひとつとしている側面もあります。そうした競争力を奪うという意味でも、個人営業の店主にとって「原則建物内禁煙」は、経営面で大きなダメージになると思うのです。

 ルールを作るときに、「一律禁止」とするのは最も安易な方法ですが、果たしてそれでいいのでしょうか。ベストは、これまでのように、経営する側による自主努力とマーケットの判断にゆだねることです。禁煙者が多くなり、喫煙のニーズが減れば、個人営業の店も自ずと全面禁煙に切り替えていくでしょう。

 どうしても規制したいのであれば、業態や規模、店内のスペースによって運用を変えるだとか、もっと現実に即した内容にするべきです。いまのままでは、あまりに現場感覚が欠如した法案で、施行後に個人営業店が対応しきれるかどうか、不安が残ります。禁止することで、法の網をかいくぐって喫煙を許す店が登場し、「正直者がバカを見る」というような現象が起きないとも限りません。