一度、デイサービスを試してみる
Wさんの説得もあり、やっとデイサービスを利用してみることになりました。
そして初日。朝、送迎のバスに乗り、夕方帰ってくるまで、父親はとても不安そうでしたが、母親は思いのほか、機嫌よく帰ってきました。
若いスタッフと話したり、同世代の人たちと会えたことが楽しかったようで、いつもより口数が多く、ニコニコしています。
身支度を調え、何年もしていなかった化粧を自らするなど、人と会う機会がよい刺激になったようです。
「今度は、あの広いお風呂に入りたい」と、次に出かける日を楽しみにしています。
デイサービスのレクリエーションは、歌や音楽、遊び、運動、手芸、絵画などさまざまです。
Wさんの母親は積極的に人と交わるタイプではありませんが、手先が器用で編み物や刺しゅうが好きだったので、手芸のグループに参加しました。
男性の場合は囲碁や将棋、麻雀などができる施設もあり、好きなことをしながら過ごせます。
身体を動かしたり、人と話をしたりすることは脳の活性化につながり、認知症の進行を遅らせるためにも有効です。
母親の様子を見て父親は安心したようでした。
実際、昼間だけでも自分の時間が持てた父親も「ひさしぶりに昼寝ができてスッとした」とうれしそうです。
●ポイント
Wさんの母親のように、すぐにデイサービスに慣れる方もいますが、慣れるまでに時間がかかる方もいます。
でも、最初は「こんなところに連れてきやがって!」と怒鳴り散らしていた方でも、専門的な知識を持つスタッフが関わってくれることで、ほとんどの方が3~6ヵ月くらいで慣れ、安心して過ごしています。
もし、あまりにも抵抗するようでしたら、1~2ヵ月空けてから再度挑戦してみましょう。