復讐は時間の無駄でしかない。
目の前のつらさにどう対処するかによって、あなたの未来は変わる。

 他よりも幸せでわくわくしている人、一緒にいると楽しい気分になる人のところには、そうでない人より多くの仕事が来ますし、刺激も機会も多く、昇進も多いのです。反対に、嘆き悲しんでいる人には何が起こるでしょうか。文句ばかり言う人は? 人はそういう人と機会を共有しようとは思いませんし、近寄ろうとも思いません。

 このように、ものには自分で選ぶことができるものがあるのです。

本書のメッセージには「背中を押してもらった」「勇気づけられた」という読者からの声も多い。

 つらいときであっても、世界に対して自分たちの対処の仕方を示し、彼らが自分たちを助けたいと思うような気持ちにさせましょう。仕事や助けを提供できる人が、もっと助けたいと歩み寄ってきたくなるような気持ちにさせるのです。

――ご存知のように、自分にひどいことをした人を許すことは非常に難しいものです。そういう人に対して復讐をすることは間違いだと思いますか?

 復讐は時間の無駄だと思います。英語には“What goes around comes around.(因果応報)”という箴言があります。カルマ(業)のようなものですね。悪いことが起こるのは彼らが悪い状況を作り出したからです。彼らにどんな仕返しをしようかと考え始めたとたんに、あなたの幸福も、仲間の良好な関係も止まってしまいます。ですから、復讐は時間の無駄でしかないのです。

 あなたにできるのは、人を許すことです。相手が許しを請うているか否か、許すに値するか否かにかかわらず、人を許すことこそ、あなた自身ができることです。

 許すことと信用することは別物です。あなたから物を盗んだ人を許すことはできても、その人とずっとビジネスを続けるかといえば答えはノーです。嘘をついた人を許しはしても、彼らが言うことをすべて信じるかといえば、そんなことはないでしょう。

 許しとは自分にかかわることであり、信用とは相手にかかわることです。許しとは過去にかかわることであり、信用とは未来にかかわることなのです。

――ありがとうございました。

アンディ・アンドルーズ(Andy Andrews)
アメリカの作家。1959年、アラバマ州生まれ。高校卒業後、両親を相次いで失ってホームレス生活を送っていたが、1人の老人との出会いをきっかけに自暴自棄な態度を改め、人生を前向きに切り開く。当初、コメディアンとして人気を博したのち、作家に転身。講演者としても評判を呼び、全米の企業や団体から依頼が殺到する。ニューヨーク・タイムズ紙で「アメリカで最も影響力のある人物の1人」と称賛される。ベストセラー作家としてテレビにもひんぱんに出演している。日本での訳書に『バタフライ・エフェクト 世界を変える力』(ディスカヴァー・トゥエンティワン)などがある。現在、アラバマ州オレンジビーチで妻子と暮らす。

 


内容紹介 『希望をはこぶ人』

2009年にアメリカで刊行されるや、またたく間に世界20国での翻訳が決まった話題作。
物語の舞台はアラバマ州オレンジビーチ。著者アンディ・アンドルーズ自身の経験が随所に織り込まれた半自伝的小説というスタイルをとる本作には、さまざまな悩みを抱えた人たちが登場します。身寄りを失って自暴自棄になる若者。気持ちのすれ違いから離婚の危機を迎えた夫婦。仕事もプライベートもうまくいかず、自分はなぜ幸せになれないのだろうと肩を落とすビジネスマン。最愛の息子に先立たれ、もはや生きる気力すらなくした老婦。他人を信じず、ただひたすら傲慢にふるまう事業家……。
そんな彼らのもとに、ジョーンズと名乗る老人が現れます。「歌のうまい人や足の速い人がいるように、私は人が見落としていることに気づくのが得意なんだ」と語るその老人は、悩みを抱える登場人物たちの心に、「物の見方」という人生の知恵をさずけていきます。
ジョーンズという名の老人が登場人物たちに、そして私たちに語ってくれる言葉に耳を傾けながら、少しのあいだ、あなた自身の生き方について想いをめぐらせてみてください。

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