なんとなく不安を感じながら、先送りしたくなる「介護」の問題。しかし、内閣府の発表によれば、介護保険制度で「要支援」「要介護」と認定された人は2013年度末で約570万人にのぼり、日本は、「誰もが介護し、介護される」“大介護時代”に突入しています。いざ介護の問題に直面すると、いろいろ調べる余裕もないまま、目の前のことに翻弄されるばかり。そこで、介護認知症の祖母、重度身体障害の母、知的障害の弟、の家族3人を21年間にわたって1人で介護し、ブログ「介護に疲れた時、心が軽くなるヒント」を通じて介護する人たちの悩みを解消してきたリハビリの専門家（理学療法士）が、いざという時に困らない「介護の心を軽くするコツ」を紹介します。
（ｃ）清水貴子橋中今日子（はしなか・きょうこ）
理学療法士。リハビリの専門家として病院に勤務するかたわら、認知症の祖母、重度身体障害の母、知的障害の弟、の家族3人を21年間にわたって1人で介護する。仕事と介護の両立に悩み、介護疲れをきっかけに心理学やコーチングを学ぶ。自身の介護体験と理学療法士としての経験、心理学やコーチングの学びを生かして、介護と仕事の両立で悩む人、介護することに不安を感じている人に「がんばらない介護」を伝える活動を全国の市区町村で展開中。企業では、介護離職防止の研修も担当。ブログ「介護に疲れた時に、心が軽くなるヒント」では、「介護をしていることで、自分の人生をあきらめないで！」「あらかじめ対策を知っておくことで、問題は回避できます！」といった介護疲れを解消し、心がラクになる情報を発信中。NHK、TBSほか、テレビやラジオでも活躍中。
「父の介護を担当してもらえる事業所とケアマネさんが決まりました。平日の昼間はなるべく、デイサービスを利用したいと考えています。ケアプランの作成をお願いするとき、どんな点に注意したらいいでしょうか？」
そもそも、（前回ご紹介した）Ａさん（40代女性・会社員）が、介護保険の利用を考えたのは、仕事と介護を両立させたいからでした。
ですから、話しやすいケアマネが担当に決まり、プロに相談できるだけでも、こんなに心強いのかと頼もしく感じています。
介護サービスは要介護度によって利用限度額が決まっているので、基本的にはその金額内に収まるように、ケアプランが作成されます。
一般的には、利用者の自己負担額は1割ですが、介護される人が「合計所得160万円以上」「年金収入だけなら280万円以上」にあたる場合は2割負担になります。
しかし、同じ要介護度であっても、たとえば認知症か脳梗塞かによって必要なサービスは当然違いますし、本人の心身の状況や家庭環境によっても内容が変わってきます。
こうした諸条件に応じて、さまざまなサービスを組み合わせ、適切なプランを作成してくれるのが、ケアマネの仕事です。
