タダ乗り問題を解決して新しい知識を創造
そんな理想の職場を本当につくれるのか?

 この1年ほど、いくつかの産学共同研究会に参加させていただいているが、そこでの研究課題として最近採り上げられるのが、「タダ乗りを防ぎ、コミュニケーションを促進し、知的創造力を発揮できるオフィスは可能か?」という問題だ。

 現時点での結論は、「可能かもしれないが、やってみないとわからない」というところだ。

 世界各地にある会社の個性的なオフィスや最近の日本企業の取り組みなど、最先端のオフィス事情を見ると、私たちがこのコラムで指摘しているフリーライダー問題を防ぐようデザインされていることがよくわかる。

 もちろん、設計担当者やスタッフは、フリーライダー問題を明確に意識しているわけではない。しかし、社員にとって価値の高いオフィスを作ろうとすると、必然的にタダ乗りするモチベーションを取り去るようなオフィスを志向することになる。

 そのいくつかの例を見てみよう。

 ピクサー・アニメーション・スタジオは、「トイ・ストーリー」シリーズをはじめとする大ヒットCGアニメーションを数多く送り出しており、その全てがオリジナルストーリーという、世界でもトップクラスの創造性を発揮している会社だ。

 この会社は、そもそもジョージ・ルーカスの傘下の会社の中で、CGアニメーションを担当する部門を、アップル創業者であるスティーブ・ジョブズが買い取って発足した。

 ディズニー社と契約を結んでヒット作を次々と出したが、ディズニーの経営手法と相容れず、契約終了後は独自路線を行くはずだった。しかし、急転直下ディズニーに買い取られ、現在は子会社として活動している。