好きなサッカーを本にする

――ここからは、宮原さんの記憶に強く残っているご担当書籍についてうかがいたいと思います。

宮原 私がサッカー好きだというお話はさせていただきましたが、まずはサッカージャンルの本ですね。ここに持ってきた『モウリーニョの流儀』『マラドーナ 新たなる闘い』『スペイン人はなぜ小さいのにサッカーが強いのか』などは特に印象に残っています。

エージェントとしてできることを突き詰めたい<br />作家エージェント 宮原陽介(後編)

 ダイヤモンド社さんから出していただいた『「いつもの自分」トレーニング』もそうなのですが、これらはサッカー誌やサッカー関連のブログから発掘、というかお声をかけさせていただいた作家さんの著作です。実はこのあたりの本の作家さんはすべていわゆる処女作なんです。

――つまり、宮原さんが口説き落としたんですね。

宮原 『モウリーニョの流儀』の著者の片野道郎さんと、『マラドーナ 新たなる闘い』の著者の藤坂ガルシア千鶴さんは、実は以前からファンだったんです。サッカー誌に書かれている記事を昔から読んでいて、いいなと。この人と仕事ができたらいいなと思ってこちらからコンタクトをとりました。片野さんとは弊社プロデュースの翻訳本ではお世話になっていたのですが、「書き下ろしを出しましょう」と。『スペイン人はなぜ小さいのにサッカーが強いのか』の村松尚登さんは、FCバルセロナのスクールのコーチをされていて、ブログを書かれていたんです。それが面白くてお声をかけさせていただきました。

 この3人には「海外在住」という共通点から日本との連絡面でのニーズがあって、またサッカーの世界では代理人の存在が認知されているので、エージェントという存在をすんなりと受け入れていただき、企画を持ちかけることができました。

――スポーツ本全般に言えることかもしれませんが、一部の大ヒット作を除いて、なかなか売るのが難しいジャンルと聞きます。その中で、こちらにお持ちいただいた3点は売れていますよね。

宮原 実際、スポーツ系は難しいですよね。でも、この3冊は処女作にもかかわらず、それなりの部数を出すことができています。著者の方がそれほど有名でなくても、しっかりしたテーマで、きちんと作れば売れるということがわかったのはうれしかったです。これからもサッカー本を作りたいという気持ちがあるので、それはなおさら強く思いました。

出版社をまたいでの人気シリーズ

エージェントとしてできることを突き詰めたい<br />作家エージェント 宮原陽介(後編)

――こちらにお持ちいただいた奥野宣之さんの著書『情報は1冊のノートにまとめなさい』『読書は1冊のノートにまとめなさい』『人生は1冊のノートにまとめなさい』の3部作もやはり印象深いものですか? シリーズではありますが出版社が異なります。編集担当者が弊社に転職したことで『人生は〜』は弊社から刊行していただきました。

宮原 奥野さんと編集担当の市川さん、僕、デザイナーさんも含めて同じメンバーで作った3点です。市川さんとは前職時代から知り合いで、エージェントとしてもかなり早いタイミングで企画を提案にうかがいました。その際にお持ちした企画の中に奥野さんの企画もありました。