海江田発言は、政権交代後の民主党の失敗も象徴している。
官僚主導政治からの脱却と言いながら、結局は操り人形のように官僚が書いたシナリオを棒読みする「一日署長大臣」。今回の「海江田発言」は、その象徴だ。「国民のための政治」を掲げて政権を取った民主党政権は、なぜこれほどまでに「失敗」したのか。一説には、官邸にも事前に相談せず発表したともいわれる。官僚追随政治もここに極まれり、だ。
福島第一原発事故への経産省の責任は重い
今なお当事者意識が欠落した「傍観者」体質
これまで経産省と資源エネルギー庁・保安院は電力会社と一体となって原子力「推進」行政を進めてきた。福島第一原発事故を招いた、当事者としての責任は極めて重い。
しかし事故後、現地の保安院職員が逃げ出した振る舞いに象徴されるように、経産省の当事者能力と当事者意識は、欠落している。民主党の政治責任が重いのは当然のことながら、東京電力に対処させればいいと傍観者を決め込む経産省の姿勢には疑問を感じる。
3月11日地震当日の22時35分に首相官邸HPで公開されたメモには、次の内容の予測が書かれていた。
「10分前には炉心溶融が始まり、1時間後には圧力容器が破損する」
原発メルトダウンが「今、進行中の危機」だったのに、官邸も政治も経産省も保安院も誰もが、何の対策もとらずに傍観者に終始していたのである。この歴史的事実は消せない。
国家的な危機に直面し、収束がまったく見えないこの期に及んでも、巨額の損害賠償におののき、経費節減を最優先する東京電力という一企業に事故処理を任せている。そのうえ、さも自分たちが「やらせている」ようなポーズをとっている。
放射能の問題にしても、もっと徹底したモニタリングとデータ収集をするべきだ。そのうえで、今後の放射能漏洩の予測を国民に開示しなければならないのに、それにも手を付けていない。