安倍晋三首相は6月5日、日本経済新聞社が主催する「国際交流会議」の晩さん会で講演した。その中で、中国の広域経済圏構想「一帯一路」について、「洋の東西、その間の多様な地域を結びつけるポテンシャルを持った構想だ」と評価し、「協力をしていきたいと考える」との姿勢を示した。
条件付きの協力姿勢とは言え、中国が主導する海と陸のシルクロード経済圏を意味する「一帯一路」構想に、これまで慎重だった姿勢を終始していたのと比べれば、一つの大きな変化と受け止めていいだろう。
これを受けて、中国外務省の華春瑩副報道局長は、翌日の記者会見で早速、「一帯一路は中日両国の協力を実現し、共に発展するための新たな土台になり得る」として歓迎の意向を表明し、日本側が提案した2018年の安倍首相と習近平国家主席の相互訪問に関しても「中国側が中日関係の発展を重視し、望む立場は一貫している」と、前向きな態度を表明した。
もちろん、それも「日本側に関連する問題を解決し、中国側と一緒に中日関係を健全で安定した発展軌道に推し進めるよう希望する」という条件が付いている。
日中経済交流や、企業同士の交流に携わっている多くの方々にとっては、励みになるニュースだと思う。日中関係がこれで一気に改善するとは考えにくいが、こうした動きは日中両国の交流を推し進める際の空気作りにプラス材料になると評価したい。